L'Imperatrice

□〜My precious sister〜
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そしてあれから5ヶ月が過ぎーーー





「お嬢っ……!」




「お嬢様!」




「フェリチータ」




館内では、フェルの事を呼ぶ声で溢れる様になった




そう、フェルがファミリーの一員に加わったのだった












フェルは可愛くて、純粋で、とにかく若い




確かに初めは元々いたファミリー達の目の敵にされていることもあったが、




皆のサポートもあったおかげで、




今では老若男女全てのファミリーに好かれる様な子だ




彼女の姉として、堂々と胸を張りたいところ














「お嬢様、聖杯のセリエからの指令が来ております」




コツンと人差し指の関節で剣の幹部のドアを叩くいてドアノブをグイッと回すと、




そこには未だ初々しい姿で仕事に取り組んでいるフェルの姿が目に入った




「頑張っておられますね」



頬の両端をニイっと上げながら、




微笑ましくそういうわたしに、フェルは少し怒った様子




「ヴォーチェ、ふざけないで……」




彼女には分かったのだろう、




私がふざけているということに





実を言うと、私は密かにあのルカの執事口調に少々憧れていたのだ




お嬢様、とフェルを呼ぶルカがとてつもなく羨ましくて、




ついつい真似をして見たいと思ってしまった




でも、これ以上からかうのはまずい、と察した私は、




ポンっと彼女の肩に両手を添えてこう言った




「フェルは、きちんと肩の力を抜きなさい……」



はぁっと一つ、わざとらしい溜め息をつきながら









しかし、私がフェルの肩に手を置いていた事がまた気に食わなかった様で、



今度は本当に怒りはじめた




「ヴォーチェ……!!」



椅子からガタッと降りて、私に蹴りを入れようとしてくる彼女






「はいはい、」




パチンと良い音をたてながら、私はフェルの脚を掴んでは下に降ろした




しかし、自分の自慢の蹴りがそこまであっけらかんに塞がれてしまうとは予想もしていなかったのか、




少し眉を上に寄せながら、訝しげに私を見つめる





そんなフェルが可愛くて、またふふっと笑ってしまった




「女の子がそんな事しちゃ、はしたないでしょ、」




パッと手を離しては、書類を机に置き、ドアの方へと向かう




「もう少し蹴り、練習しなくちゃね」




ニコニコ笑いながら、




さっきの様にドアノブをグイと回し、




後ろを振り返る




その様子がかなり落ち込んでいたと見えて、少し後悔するが、




これもフェルの成長のため




一生懸命フェルのためにも頑張らないとーーー
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