L'Imperatrice

□A very warm smile
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ファミリーの屋敷のある研究場の、ある個室の中



一人の若い男の膝の上に、



ちょこんと座る可愛らしい女の子




「ねぇ、ジョーリィ
これ、なんて読むの?」



首を可愛らしく傾げながら、



ねぇねぇ、と彼を揺さぶりながら聞いてきた



その少女、というのは、



幼くしてファミリーに加入された、



まだ3歳という子供、ヴォーチェだった



あれから気絶してしまった彼女



寝ている間、良く見てみたら、



膝より少し上辺りの太ももに、



“L'imperatrice”



女帝のスティグマータが見つかったのだ








体力が回復したからというもの、



分からないことがあったら直ぐに、自分の物にしようとするヴォーチェ



好奇心旺盛だったこともあるのか、とにかく質問を沢山した


それも、ファミリーを困らせてしまう程に


そして、誰もが感心してしまう程に、


勉学にも能力にも熱心に励む子供だったのだ


「お前には、まだ難しい……」


だから、そうぶっきらぼうにジョーリィに返されたとしても、彼女はひるまない


「でも、この単語が分からなきゃ、次のページに進めないよ?」


悲しそうに眉を垂らしては、


ジョーリィを見上げる彼女


小さな小さな手で、


ジョーリィ、教えてよ、


と言いながら、彼の頬を抓ろうとする


勿論言うまでもなく、


彼女の背ではジョーリィの顔に届く訳が無い


だからはたから見たら、


手を伸ばして遊んで、と暴れまわっている元気な子供だ


「ヴォーチェは相変わらず元気だな……」


フっと、彼女の頭を優しく撫でながら、そう言った



「えへへっ……!」


キャキャ、と楽しそうに微笑むヴォーチェとジョーリィの姿は、


とても微笑ましいものだった


ましてやあの滅多に人に心を許さないジョーリィが笑っていたのだ



それも、幼い子供を相手に









「全く……本当にヴォーチェは私を存分に楽しませてくれるな


大人になった時が楽しみだ……」
 

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