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□いざなう指先
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Ｓ
「智くんヤバいよ、時間ギリギリ」
「そっか？俺いつもこんくらいだよ」
「おはよー」
ライブ当日の朝、智くんと２人で控え室に入っていくと何故かいつもと雰囲気が違う
部屋の端っこで松潤と相葉ちゃんが深刻そうな顔で何か言い合っていた
「何でだよ!?」
しかも珍しいことに怒鳴っているのは相葉ちゃんの方だ
思わず智くんと目を合わせ、２人を止める為に近付く
「…どした〜？」
智くんの穏やかな口調がこれ程頼もしいと思ったことがあっただろうか
「リーダー！…リーダーは知ってたの!?」
「…なに？何の話さ？」
「ニノのことだよ！」
そう言われて控え室を見回してニノの姿がないことに気が付く
もう集合時間は過ぎているものの、ドラマの撮影でリハに遅れるなんてよくあることだ
だけど急に不安になって俺も相葉ちゃんに訊く
「ニノは？」
「…まだ来てないよ」
「ニノがどうかしたの？」
「ニノが入院してるってことみんな知ってたの!?」
…入院？
泣きそうな顔をした相葉ちゃんをマジマジと見る
その後、智くんを見たが見開いた目に不安が揺れている
きっと俺も同じ目をしていると思う
３人の視線が自動的に松潤へ注がれる
バツが悪そうにしていた松潤が静かに話し出した
「…少し前から体調が悪くて入院してる」
仕事は入院先の病院から通っていたという
松潤はライブの構成変更の為、一度病室で打ち合わせをした時に事情を知った
しかし本人が頑なにメンバーには知らせないで欲しいと
「俺は反対したんだけど…心配かけたくないって…」
ごめんと謝る松潤にもっと詳しく話を聞く
ニノは今日も病院から直接会場に入り、控え室も別室が用意されていた
皮膚に風が当たるだけで痛みを感じるその症状を抑える為に痛み止めを打ち、負担を最小限にするよう構成を変えた
愕然とする
何度も顔を合わせていたのに何にも気が付かなかった
待ち時間に寝てばかりいたのは撮影がキツいのだと思い込んでいた
「…とにかく最後までニノのフォローしよう」
リーダーらしい智くんの言葉に全員が強く頷いた
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