Short Story _GunWoo

□キス
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「「ワーーーーーー!!!!!!!」」


弟たちは驚いて声を荒げ、


「キャー!!!!!!!!!!!!!!!!」


俺も悲鳴をあげた。




















「なんだったのか…説明してください…」


自分でもわからない。
とにかく、放心しているコヌを無理やり立たせてリビングを脱出し、コヌとセヨンの部屋まで来た。
ベッドでゴロゴロしながら呑気に「お、蜜柑あんにょ〜ん」と手を振るセヨンを、後ろからつけてきていたらしいジュンキュが部屋から連行してくれた。

コヌをベッドに座らせて、

その前にわたしが座って、

なう。


「すみませんでした…」

とりあえず地面にでこを付けて詫びた。

「いや…いやいや、え、そうじゃないと思う。てか今の俺らのファーストキスだよね?」

「うん」

そう。そうなの。


わたしはもともとセヨンがいた高校に語学留学として滞在してたときからセヨンの友達で、たまたまセヨンが地元でサッカー試合するって言うから、わざわざ韓国まで応援しに行って、そしたらたまたまコヌが見にきてて。

綺麗な顔してるくせに喋ったら宇宙人並みに頭ぶっ飛んでるし超おもしろくて、あとでAB型だって聞いてすごい納得したわ。

それから話も合うし、コヌは夢も持ってて、変人だけど、あんまりベットリした恋愛が好きじゃないわたしには良いんじゃないのってことで。

結構あっさりとした付き合いが始まって。これがもう3年前の話。

友達の延長戦みたいな感じだったから、過去の恋愛とか聞いたこともなかったし、MYNAMEのデビューが決まって練習が本格的になってからはデートらしいデートもしなくなって。

それでも一応好きだし、まぁいっかな、と思ってたんだけど。


…この前、韓国から来てた女の記者さんと偶然会って、ちょっと立ち話してたら。

『蜜柑ちゃんとコヌくんって、どこまでいってるの?』

『ブフォ!!!!!!!』

『あ、安心して、書いたりしなあから(笑)コヌくんに怒られちゃうもの〜』

わたしとコヌが付き合ってることを知ってるだけでかなりの衝撃なのに、なんとこれを打ち明けたのはコヌ本人だと言うもんだから更に衝撃でわたしは倒れそうだった。

『ど、どこまでって…なにを』

『え?手…はさすがにもう繋いだでしょ?キスしたとか…セックスまでいったとか』

『ブッフォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ゲッホ!!ゲホ!!』

『わぁ!?大丈夫!?』

あまりに驚いてむせてしまった。

『今のはどっちの反応?したの?してないの?』

『してな…てかなんで急にこんなこと聞くんですか!!いくら年上でも失礼なんですけど!!』

憤慨しつつもコヌの仕事の関係者様に敬語を忘れないように怒鳴ったが、記者さんは至って冷静に。

『だってコヌ、彼女がいるのにまっっったく女のにおいがしないんだもの』

『…はい?』

それはわたしが香水とかつけないから女子力に欠けているよ、と?

『あはは!バカ、そうじゃなくてさ。噂によるとだけど、コヌって女ができたら超わかりやすいらしくてね、手も早いって』

『…へえ?』

『バカ!へえ?じゃないでしょうが』

『え?』

『あんたたち3年も付き合ってんでしょ?あなたはその間に成人もしたんでしょ?それでキスまでって…と、お姉さんなりに心配してあげてるのーよっ』

『いた!!!!!!』

語尾に合わせてデコピンされた。

『ま、アイドルだし?その方がいいのかもね〜。んじゃ!あ、このコーヒーあげる〜』

記者のお姉さんは言うだけ言うと簡単にその場を去ってしまった。
わたしの手に缶コーヒーを残して。


な、なんなの…

コヌって…手が早いって…


わたしの前に彼女がいたことすら知らなかったのに、こんな話、急すぎて。




「つーかわたしカフェオレしか飲めないっつーのォォォ!!!!!!!!!!!!!」



「え!?知ってるけど!?」
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