シャーマンキング 小説

□無言の圧力
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二人は真昼間から行為に及んでいたため(ハオが半ば強引にせまって来たのだが)、目が覚めたのは夕方頃だった。

今日はハオの家に泊めてもらうので、夕食は葉が作ってあげることになっている。

「なぁハオ、夕飯なに食べたい?」

「う〜ん…。葉かな〜」

「分かった。カレーな、材料買ってくる。」

どこまで本気なのか分からないので、葉はハオの返答をスルーした。

本気だとしても今日はもう腰の痛みにたえられそうにない。

「じゃぁ一緒にスーパーに行こうか。」

「いや、オイラ一人で行ってくるよ。ハオは代金踏み倒すだろ?」

シャーマンファイトの時にパッチズカフェ豆で代金を踏み倒してから、葉はハオと買い物に行くのを嫌がっているようだ。

「信用無いなぁ。じゃぁせめてぼくの財布もっていきなよ。使っていいからさ。」

「サンキュー、ハオ!」

20分位で戻るからっと言い残し葉は近所のスーパーに向かった。




片道5分位の所にあるスーパーに向かう途中、葉は新しくお店ができていることに気付いた。

ゲイバー?なんか、ヤイバーとかいうヒーローみたいな名前だな〜小さい劇場かなと葉は思った。

イントネーションも意味も全く見当違いだが…

すると中から茶髪に所々、金色のメッシュが入った男が出てきた。

「君、ここに興味あるの?良かったら見学していかない?飲み物もおごってあげるからさ。」

買い足す材料は決まっているので買い物にさほど時間はかからないだろうと思い、葉は少し見ていくことにした。

「じゃぁ少しだけ見学させてもらうよ。」

店内にはバーテンダーがいて、各テーブルにバラが飾られていた。

かなりオシャレなお店のようだ。

おまけに葉が好きなボブの曲までかかっている。

「どう?俺の一押しのお店は。」

男は自信を含ませた声色で尋ねてきた。

「オイラもいい店だと思う。それにボブがかかってるからなおさらだ。」

「だろ?あっそうそう、君はちょっと強引なのって好き?」

ハオのことを言ってんのかな〜と思った葉が

「まぁ、程度にもよるけど嫌いじゃないな。」

と答えると男は目を輝かせて喜んだ。

そこから、男はとめどなく矢継ぎ早に言葉を紡いだ。

「え!?マジで?ラッキー。あっマスター例のカクテルをこの子に頼む。」

「そういえばなんで頭にヘッドホンつけてんの?聞いてるのはもしかしてボブ?」

「年いくつ?高校生ぐらいかな?いいな〜若い子大好きだ。」

注文したカクテルが出てくるとやっと男はしずかになった。

「はい、これは俺のおごり。カクテル飲んだことある?スゲーうまいよ?」

差し出されたのはメロン色の綺麗な液体の入った、これまたオシャレなグラスだった。


「ありがと。ちょうどオイラ、のどが渇いてたんよ。じゃぁいただきまーす。」

一気に飲み干すとなぜか男は不敵な笑みを浮かべている。

何か変だ。

「どう?体になにか変化ある?」

それどういうことだ?と男の方に体を向けると葉はバランスを崩し地面に倒れてしまった。

続けてパリンッと耳障りな音がする。

…このグラス、弁償なんかな…
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