シャーマンキング 小説

□あの世とこの世のつながり
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喪助を待っていた600年間、阿弥陀丸は人と触れ合うことを特に望んではいなかった。

否、忘れていたのだ。人と触れ合うという事の温かさを…

霊体では人に触れる事はかなわない。




日差しの強い昼間の体育の授業で葉のクラスの男子はサッカーをしていた。

この暑さではだらけている生徒が多いが、葉は

「暑さと戦ってるんよ」

といって無邪気に走り回っていた。

「葉殿、大丈夫でござるか?汗の量が…」

「平気平気!オイラは暑さには負けんよ」

うぇっへっへっと葉特有の笑い方。

葉の返答を聞いて安心したのも束の間

へなへなっと倒れてしまったのだ。

「葉殿!」

しっかりと葉を受け止めた…つもりだった。

だが、霊体の阿弥陀丸では葉を受け止めること
はできず葉は頭から倒れてしまった。

…拙者は倒れた主人を支えることもできぬのか。

そう思うと阿弥陀丸はひどく悲しくなった。

「葉君!?」

葉が倒れたの気付いたまん太が驚いてかけよってくる。

「どうしたの?熱中症?…ってうわ!額から血がでてるよ!」

「あぁ、どうりで頭が痛いわけだ。わりぃまん太、先生に保健室に行くって伝えてくれるか?」

「分かった。水分補給と消毒はちゃんとするんだよ?」

葉が怪我していることにまん太は少し動揺したものの、いつもと変わらないユルイ姿を見て安心した。

「阿弥陀丸は保健室まで肩かしてくれ」

「…しかし、拙者では葉殿に触れることすら…」

ドサッ

「さっきはコントロールできんかったけど、オイラはシャーマンなんだから阿弥陀丸に触れることぐらいできるんよ」

「葉殿…」

阿弥陀丸の肩によりかかる葉の感触。

阿弥陀丸にとって、それがたまらなく嬉しかったのだ。

そして600年ぶりに人と触れ合うことの温かさを知った。

「オイラはいつでも阿弥陀丸が触れられるようにしておくから、もうあんな悲しい顔すんなよ」
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