サディスティック・スノウ

□九話 側に
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斬り合いに巻き込まれ、気絶した私は、真選組の医務室で目が覚めた。


『………い、きてる…。』


薄暗くてひんやりとした医務室。

すると、丁度誰かが入ってきた。



「あ、良かった…。目が覚めたんだね。
大丈夫?俺のこと分かる?」


…地味な人だった。

名前…何だっけ?


『ザキ…さん?』


「あ…うん、惜しい。俺は山崎退。真選組の監察方だよ。」


地味だけど、優しそうでまともそうな人だった。
良かった…。


「俺は君が女の子だって事と、雪晶石のことも知ってるから、とりあえず安心してね。
危ないときはフォローするから。」


『ありがとうございます。
山崎さん。心細かったんで、安心しました。』


山崎さんはニッと笑うと、ああ、と本題を切り出した。


「今晩、"大串くん"の歓迎会なんだ。
それまでに起きられてたら良いなって思って様子を見に来たんだけど…
どう?大丈夫そう?」


気絶しただけで、他に何も悪くないので、私は『はい。』、と答えた。


すると、山崎さんはその事を近藤さんに報告してくると言って、出ていった。


歓迎会かぁ。


私の入隊理由ってかなーり特殊だから…
そういった事をやってくれるなんて思っても見なかった。

凄く嬉しい。










そして、歓迎会に浮かれながらも、念のために安静にしていること一時間。


医務室に誰かが入ってきた。



「起きてるか?」


くわえ煙草の副長だった。


『はい、お陰さまで。』


午前中、お仕事を手伝わせてもらって以来だ。

あの仕事は終わったのだろうか。


「ザキから話は聞いてるよな?」


『歓迎会…ですか?』


そうだ、と副長。


「今から始まる。無理ねェように来い。」


そして、微笑。


やっぱり、この人も優しい人だ。

世間は真選組をチンピラ警察とか呼ぶけど、
中身はやっぱり開けてみないと分からない。


私は黙って頷いて、土方副長の後を付いていった。
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