ゆきうさぎ
□9章 三日後の地球2
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「そうかい…。
じゃあ、さくらの行方は未だに分からないままか。」
「真選組の方でも捜索はしているようなので、さくらさんも見付かるのはそう遠くないですよ!」
僕らは真選組から聞いた目撃証言を除いて、ある程度ざっくりと報告した。
そして、ひととおりの話を終えた後、神楽ちゃんはショーケースを覗いている。
「…おじちゃん、この前食べさせてくれた試作品はまだ並ばないアルか?」
「試作品?
俺は最近は新作考えてないが…。」
「え?だって、さくらが居なくなる前に食べさせてくれて…」
「それ、どんなやつだ?」
僕は神楽ちゃんが食べていた物を思い出した。
「確か、桃色とオレンジ色が混ざったような、綺麗な色の小さなお饅頭でしたけど?」
「……ちょっと待っててくれよ?」
旦那さんは店の奥へと姿を消し、五分程で出てきた。
手には、小さなノート。
「ひょっとして、これかい?」
開かれたノートのページには、神楽ちゃんが食べたあのお饅頭のレシピが書かれていた。
「あ、これアル。」
「え?何?ちょっと銀さんにも見せて。」
旦那さんは銀さんにノートを渡した。
「…『神楽』?」
「何アルか?」
「違う違う。この饅頭の名前。」
「え?」
そうなんだよ、と旦那さん。
「何でも、万事屋のお嬢さんの髪色を元に作った饅頭だそうだ。」
「…?
『だそうだ』ってことは、これはジィさんが作ったんじゃ…?」
「ああ。作ったのはさくらさ。」