ゆきうさぎ
□2章 星船にて
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神威提督は暫く考え込んでから
「それは困るな。」
とぼそっと言い、すぐに進路を地球に変えるよう部下に伝えた。
自分のお気に入りの白髪の侍まで氷漬けにされちゃ、つまらない。
「で、地球のどこ?」
「何の因果か…江戸だ。」
「ああ、あの鳳仙の旦那が居た吉原が有るところだネ。」
神威提督は高揚をおさえきれていなかった。
その証拠に、さっきまで適当に握っていた万年筆がひしゃげている。
使い物にはもうならない。
「今、資料を出してきたんだが、
ありゃあ、生命体の心臓に根付いてやっと使える代物だ。」
「じゃあ、地球産の何かにその石が有るんだ。
殺して心臓ごと奪ってくればいいんだ。」
「まあ、そうだな。
あんまり穏やかじゃあないが、
今のところそれしか方法はないみたいだ。」
そして、星船は進む。
季節外れ過ぎた雪の江戸へ。