サディスティック・スノウ

□十八話 近づくな。
1ページ/4ページ



ピピピピピッ


間の抜けた電子音が神崎から聞こえた。


「ほら、体温計見せろ。」


俺は神崎に計らせた体温計を出させる。


『…はい。』


少しもぞもぞと動いて出されたそれを受け取り、


……驚愕した。



「………マジか。」



体温計にはデジタル数字で"36.7"。



どう考えたって平熱だ。


本人の顔は赤く、苦しそうな顔をしている。


見た目からすれば、高熱の患者。


風邪…なのか?


そっと、寝てる神崎の額に手を置いた。


「……………。」



平熱…だな。





医者でもねェ俺は、一般的な看病の仕方しか知る訳ねェ。

こんな、平熱なのに苦しそうな奴の看病なんて…。



『…たい…ちょ…。』


神崎は虚ろな眼をこちらに向けた。


「…何でィ。」


『わたし…大丈夫です…
だから、早く…しごと…いってください。』


そう言って、にへっと笑った。


もう、朝の会議の時間はすぐそこまで迫っている。


「…。」


早めに行って、近藤さんにこのことを伝えるか…。


そう思った俺は、その言葉に甘えることにした。




………………………………………………




熱い。


何かを考えようとすると、ふわふわする。


でも、これ以上隊長に迷惑かけられない。

風邪を、移してしまうかもしれない。


そう思った私は早く行ってと伝え、隊長は出ていった。



一人の部屋。


隊長が冷たく濡らした手拭いを額に乗っけて行ってくれたから、ひんやりしてて気持ちいい。


あの人もあの人なりに心配してくれたんだと思って、純粋に嬉しい。


ただの鬼畜上司じゃなかったんだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ