サディスティック・スノウ

□十三話 車内は眠くなる
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坂田さんの病室を出た後、私たちはパトカーを停めてある駐車場へ向かう…んだけど…


『隊長…。』


「何でィ。」


『腕、離してください。』


さっき病室で引き寄せられてからずっと離されていない。

お陰で私は沖田隊長に引っ張られるようにして歩かなければならず、これは結構体勢が辛い。


「ああ、悪ィ。」


ぱっと離され、私は自由の身に。


何か連行されてるみたいだったしね。



窓から覗く夕焼けが綺麗。

その光は、私たちの影を長く伸ばしている。

歩く隊長の影を追うように後ろを歩く私に、隊長は話し掛けてきた。


「しっかし、土埃まみれだねィ。」


『ああ、結構な勢いで投げ飛ばされて、地面ローリングしましたからね。』


「顔にも泥の跡付いてらァ。」


私は隊服の袖口で左頬を拭った。
鏡も無いので自分から見えないから、適当にだ。


「違ェ違ェ。」


『え、何処ですか?逆ですか?』


今度は右頬を拭った。


沖田隊長はため息をひとつ吐いて、


「…ここでィ。」


左手で私の顎を掴み、右の袖口で私の額を拭った。


『…………っ!』


ごしごしと若干強めの力で拭われ、その後何事も無かったかのように歩き出した。


……。


ヤバイ。

ちょっと、今のキュンてした。


顎クイっぽいことされた。


シチュエーション的には全然萌えないのに、何かキュン来た。



顔が少し熱い。


単純って思われると思うけど、今まで男っ気のない生活してきたから、正直、今の真選組での生活は色々免疫無くて大変。


近藤局長があんなにすぐ脱ぐ人だとは思わなかったし…。


だから、顔に出さないようにしてたけど、さっき腕を引かれた時だって内心ドキドキしてた。

駄目だなぁ、私。

ちょっと触れられた位でこんなに動揺しちゃ。


このまま真選組で生活していくなら、こういうこと位慣れておかないとなぁ……。
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