サディスティック・スノウ
□八話 絶対に
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俺が神崎さくらという女に疑いの目を向け始めたのは、初めてその姿を見た病院内だった。
大江戸流星群で偶然落ちてきた隕石に直撃しながらも生存した、奇跡の少女。
テレビや新聞とかのマスメディアはこの少女をやたらと持ち上げ、話題にした。
少女はその時まだ意識不明で、まさか自分が一躍時の人となっているとは露知らず、
意識が戻ったときのマスコミ対策の為に、わざわざ警察病院に入院させられていた。
そして、警察として俺が土方さん(クソ)と事情聴取に行ったのが、始まりだった。
病室を訪ねると、丁度本人は留守で、担当の女医から話を聞いていると、その途中で帰ってきた。
神崎さくら。
ただの一般人。
モブ。
そのはずだった。
土方さんが普通に接していたことから、恐らく気付いていない。
きょとん、として事情聴取を受けるソイツから、ずっと殺気やら狂気やらが駄々漏れしていたことを。
もちろん、神崎さくらが俺らに向けているとは思えない。
体格や体力的にも、俺たちに敵うとは思わないだろう。
…危険だ。
柄にもなく、そう思ってしまった。
そして、神崎さくらはとある事件に巻き込まれ、その縁あってか、雪晶石の存在を知った。
近藤さんにえらく気の毒がられて、そのまま真選組に居候することになったが…
それでもまだ、奴から染み出るような狂気染みた殺気は消えなかった。
本人は全くそのつもりが無いようだが、
俺には分かった。
……雪晶石。
どうやら、その変な石がモブ女の心臓に絡み付き、
嫌な殺気を出している。
何度か元凶を断ってやろうと試みたが…刀を折られてお仕舞いだった。
それからと言うもの、俺はできる限り神崎さくらから目を離さなくなった。