サディスティック・スノウ

□二話 名前を
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三日前に運ばれた重傷の少女。

何でも、流星群の中の隕石にぶち当たって奇跡的に生還したらしい。



少女が入院する警察病院で、この噂が流れるのは時間の問題だった。



しかし、それと同時に違う話題が江戸中で広がった。




「しっかし、今年は冷夏だなぁ。」


「おう。やっぱり気付いてたか?
いくらなんでも最高気温が23℃はねぇなぁ。」


病院の待ち合い室のテレビでお天気お姉さんが話す週間予報に被せて、中年男性二人が駄弁る。


少女は偶然通りかかり、それを聞いた。


そう言えば涼しすぎるな、と思った。


そして、蝉の声が全く聞こえない。


夏の風物詩。

それが聞こえない。




少女は不思議だなと思ったが、

それほど気にも止めずに残り少ない入院生活を静かに過ごそうと病室へと戻った。






戻ると、担当医の女医と、黒い服の男二人が立ち話をしていた。




「今朝目覚めたばかりなので、事情聴取なら手早く静かにお願いします。」


女医の声がした。


事情聴取。


サスペンスドラマとかでしか聞かない単語。


黒い服の男二人は了承したように見える。


一人は背が高くて黒い短髪。


もう一人はその人より少し背が低くて明るい茶髪。


二人とも若そうだった。


「ああ、丁度来ましたよ。
この二人は真選組の人です。」

女医は少女が入ってきた事に気づき、黒服二人に少女を紹介した。


少女は軽く会釈する。


『こんにちは。』
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