サディスティック・スノウ
□一話 この惑星で
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吉原桃源郷。
季節は初夏。
四角く切り取られたかのように覗く夜空。
そこからは満天の星空と…
数えきれない流れ星。
今日は世紀の天体ショー、『大江戸流星群』。
吉原にいる客も、今日は望遠鏡や双眼鏡を持ち出して一斉に夜空を見上げている。
それは、銀魂のメインキャラだろうが、顔が辛うじて描かれているモブだろうが関係ない。
皆、一様に空を見つめていた。
しかし、異変は突如やって来る。
「おい、何か…あの星…。」
一人の男が指をさした。
それは、瞬く大きな星。
いや、段々と大きくなる星。
「おいおい、まさか…これ…。」
大きくなっているのではない。
これは…
「ほ、星が落ちてくる!!
隕石だァァアアア!!!」
「皆逃げろォォォオオオ!!」
気づいた男たちが周囲に危険を知らせた。
その声を聞いた人々は近づく隕石を見るや否や蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
各々が持っていた双眼鏡や立てた望遠鏡はそのままに、人だけは逃げようとしていた。
しかし、一人のモブの少女が、誰かの置いていった望遠鏡の三脚につまづき、派手に転んだ。
少女が痛がりながらも立ち上がり、すぐに逃げようとした。
しかし、もう遅かったのだ。
少女の目に映ったのは、自分の体に直撃する直前の…小さな小さな隕石だった。