ゆきうさぎ

□7章 殺せない
1ページ/4ページ




ばったり。


それは、まさしく今使うべき言葉なのだろう。




「……なに?」


『……そうだった…。』



医務室は、神威提督が寝床代わりにしていたんだった…。



元々治癒力の半端無い夜兎族に、治療のための長い時間寝る施設は殆ど要らない。


すなわち、今出してあってすぐ使えるベッドは1つしかないわけで。


「ここはもう俺のベッドだから。
寝るなら床か廊下で寝ろヨ?」


鬼畜提督め…。

  
私は交渉の余地があるか確かめる為、とりあえず話題を振る。


『…提督室も完全封鎖されてましたっけ。
何かあったんですか?
その怪我と何か関係有るんですか?』


「…ちょっと喧嘩を売られただけだよ。」



まただ。「聞くな」オーラ。

殺意とも言う。


『……私、何かしてしまったんですか?』


今の私の部屋と同じ状況だから、余計気になる。


「…何で?何かした記憶でもあるの?」



……何も無かった。



『………特には。』


「じゃあ、何もない。これでいいだろ?
さっさと出ていくか床で寝るんだ。」


『…………はい。』


私は床に座った。 

適当に干してあったシーツにくるまり、壁にもたれる。


…わざと提督のベッドの近くで。


「…同情するとでも?」


『…………しないですか。』
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ