ゆきうさぎ

□5章 修行中
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宇宙海賊春雨、第七師団本戦艦内にて。


私には自室が与えられた。

それと、朝と晩に提督さん(提督と呼ぶことにした)の組手に付き合えと言われた。

それについて、自室に案内されている今、聞いてみた。


『あの、私一般人なので、拳法とか、武術は全く何もやってないのですが…
何故に私が組手?』


「だって、強いじゃないか。
えっと…名前…」


『神崎さくらです。』


「じゃ、さくらでいいや。俺は神威。」


サラッと呼び捨てですか。


『あ、はい、じゃあ…神威提督。
どうして強いなら組手を?』


「戦ってみたいから。」


即答。

『…私は出来れば戦いたくないです。』


「でも、俺は戦いたい。
久し振りなんだ。こんなにも挑む自分が無謀だと思えることが。
さくらと戦って、勝って、更に強くなりたい。
だから朝晩組手するんだヨ。」


一般ピーポーの私には上手く理解できない。
しっかし、この人…いつもニコニコしてる。

…誰かに、似てる…?


髪色とか、目とか…。


……神楽ちゃん…。


うん、似てる。

すごく似てる。



もしかして、血縁者?


でも、そんな話、聞いたこと無いし。







「何ぼーっとしてるんだい?
ここだヨ、さくらの部屋。」


『あ、すみません。』


慌てて遅れた歩調を早める。


鍵を阿伏兎さんから渡され、入ってみる。


あ、わりと綺麗な部屋。


ちょっと感動した。


吉原に住み込みで働いていた時に使わせてもらった部屋は6畳くらいだったけど、

ここはもっとある。


二倍くらいあるかも。

ってことは…12畳?


白い壁に白い天井、床はフローリングのような材質。

ベッドはたぶん…セミダブルくらいかな?


『…ここ、本当に使っちゃって良いんですか?
もうちょっと下っ端の人が使うような部屋、無いですか?』


「いや、嬢ちゃん位の危険人物を下っ端と一緒に出来ねぇよ。」

阿伏兎さんにぺしっと軽く叩かれた。


まあ、それも一理あるけど。


興味本意でクローゼットを開けてみる。

『服とかも有るんですね。
…男物だけど。』


「じゃあ、いっそのこと男として生活すればいいんじゃないかな?」


『…何か得ありますか?』


「まあ、ここはただでさえ血気盛んな男夜兎族が多いからな。
男として居た方が氷漬けの被害者は減らせそうだ。」


『夜兎族?』


聞いたこと無い単語がまた増えた。


「俺達のことだよ。」


『地球人じゃないんですか?』


「地球産とは力が違いすぎるよ。
まあ、今のさくらもだけど。」


「まあ、戦闘に特化した残り少ない民族ってことだな。」


『なるほど…。
それであんなに私が吹っ飛ばされたんですね。』


神威提督みたいな戦闘狂が産まれるのも無理はない、と。
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