ゆきうさぎ
□4章 雪は船のなか
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二人の目の前で倒れた少女。
神威と阿伏兎はその横に立っている。
「阿伏兎、これを船に運んどいて。」
神威は倒れているさくらを指差した。
「良いのか?」
「このままほっといて、いつしか地球の侍まで氷漬けにされるのも、何か残念だからね。」
だったら船に運んでおいた方がいい、と神威。
「それに、まだ本気同士で戦ってない。」
痛む拳を庇い、神威は船に戻る。
「はいよ。」
阿伏兎も、地球を…江戸をこのまま失うのは、(同族の神楽をそれなりに気遣って)勿体ないと感じた。
倒れているさくらを右腕で抱え、船に戻った。
さくらは覚める様子はない。
自分が何処に運ばれているのかすら、知る由もない。