恋愛小説

□Ray-レイ- 3
1ページ/1ページ



澪side


「――――澪ッ!!!聞こえるかッ?!!」

「七瀬ッ?!」

『―――――?!』

聞こえた、七瀬の声が。

「聞けよ、澪ッ!!
俺は強い澪なんて望んでない!
俺の望んでいる澪は――――





今の、泣き虫な澪なんだよ……!!」

「……………え?」

気がつかなかった。
七瀬が思っていることが……
今の私でいいなんて……
知らなかった。

「今の澪がいいんだ…!
強い澪なんて俺は嫌だ……!
俺は………






泣き虫でも前向きな……そんな澪が好きなんだよッ!!!」

「……………っ!!」

「だから……強くなろうなんて、思うな!
澪は泣き虫でもいいんだよ!
俺や真樹達が支えてやるから……!
澪ば独り″じゃない…!!
変わろうとするな…!」

「……な、七瀬………っ」

………嬉しかった。
私は下を向き、そう思った。
そして、ふいに目から温かい涙が出てきたことに気づいた。

『くそっ……邪魔しやがって……!!』

そう小さく言い放っだ私″は
光のない目で私を見てきた。

『………………殺ってやるッ!!!!』

刹那、私に向かい走り出した。
私は黙って下を向いたままでいた。

『……ッ殺ってやる…!!殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる殺ってやる………!!!!!!』

゙私″はぶつぶつ言いながら走ってくる。

「………………………」

私はただ、黙って下を向いたまま……
そしで私″が私の真っ正面に来た時…
私は…………゙笑った″。

『………………?!』

「馬鹿だね、アナタは…

殺られるのは…………






―――――――アナタだよ?」

『…………………え?』

゙私″が呟いた瞬間、
私は手を伸ばじ私″の胸から゙白い糸″を引き千切った。
ぶちぶちっ、と音をたてて千切れた。

『…………な、……ぐあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!!!』

「……私はね、あなたなんていらないの」

゙私″は胸を押さえて倒れこんだ。
それと同時に―――
私の胸から゙白い糸″がすぅ…っと消えた。

「そして、゙白い糸″も……」

『お……ま……………え…っ!』

「いらないよ、強い私なんて…
気付いたから、周りの思いに。
教えてもらったから、周りの仲間に。
だから………











だから……泣き虫の私のままでいい」



『…………そ……う…か……』

゙私″は笑みを浮かべた。
その瞬間、゙私″はまるで水が弾けるかのように消えた。

「――――――――ごめんね……」

呟いた時、涙が出てきた…。
同時に辺りが、目の前が真っ白になる―――――――――――


―――――――――――――――――――

――――ん…?
目を開けると入ってきたのは白い天井。
見知らぬソファー。
見知らぬ可愛い服。
「こ、ここは……?」



「あ!七瀬〜、澪ちゃんが起きたよ!」

「……………真樹?」
「おはよう♪」
右に顔を向けると真樹がいた。
にっこりと笑って私を見る。
「真樹……ここどこ?」
「七瀬ん家」
「なんで………?」
「なんでって………あ、覚えてないか〜
簡単に言うと澪ちゃんがぶっ倒れたから!」
「………………は?」
真樹が言うには……
私が下を向いたまま動かないから、心配になって顔を覗いたら目を見開いてて、息もしてなかったとか。その時は時間が止まっていてびっくりしたとか。
そして私が何か呟いてて、しばらくしていきなり私が倒れたらしい。倒れたのと同時に時間が動き始めたらしい。
そして、先生に早退させてもらって今現在。





「―――いまいちよくわからない!」
私が真樹にそう言った時、
傍でカタン、と音がした。



「わからなくてもいいんじゃないか?」

そこにはエプロン姿の七瀬がいた。
「七瀬………!」
「なんだよ、澪。
ほら、澪の好きなグラタン作ったから」
「………!ありがとう!!」
私はグラタンを見て、微笑んだ。
それからグラタンを口に入れる。
「美味しい……」
「………………そりゃどうも」
「七瀬って料理上手だよな〜」
真樹がグラタンを眺めながら言う。
七瀬はエプロンを外して、真樹を見る。
「俺は家庭科の成績がダントツだからな」
「「そうだったの/のか?!」」
私と真樹の声がハモる。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ