狂おう

□連れてこられたのは
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『…えっと、』



「お金は俺が払うからさ!」



『…………』




着いた先は、高い建物の前。




「さあさあ行こう!」


『ここは?』


「俺の家は〜ちょっと都合がわるいんだよね。だからホテルで勘弁してね☆あ、勿論何もしないから大丈夫!」


『(ホテル?)』




彼はスタスタと中に入って行くと受付を素早くすませた。

キーをもらって階段に向かう彼

私も急いでついていった





部屋の前に着く。


入口で突っ立ったまんまでいると


「はい!まず ミオちゃんはお風呂に入って来なさい!そんな濡れてちゃ風邪引いちゃうよ〜 」


『…いや、でも、』


「それに!濡れたままで部屋の中歩いてもらっちゃ、困るしね?」


『……(確かに)』


「じゃあ靴脱いで入って〜服はーバスローブ取ってくるから待ってて!」



靴を脱いで部屋の中に入る。
そういえば、靴もなんか珍しかったなー

もーいいや気にしないでおこう。



すると、タッタッタッとこっちに向かってくる足音が聞こえてきた。



どうやら彼が戻ってきたらしい。
手にはバスローブを持っていた。
ほんとにこれを着るのか


「はい!嫌だろうけどこれしかないからさ」


『あ、大丈夫です。ありがとうございます。』


「じゃあいってらっしゃーい☆」



というと彼はリビングの方に向かっていった







――――…








ジャー――……






ゴシゴシと頭を洗う



そういえば、


『あの人、年上か同じくらいか?』


年下には見えないから、どっちかだろう。




キュッと蛇口を回して、お風呂に入る




『これからどうすっかなー』



これからの事を考える。

今日はここに泊まらせてくれるから大丈夫だろう

さっきホテルって言ってたけどここは宿のようだ



問題はこれからだ。明日にはここを出て行かなければならない。
いつまでも世話になってるのもアレだし



でもこの場所で生活するのはちょっと厳しい。
この宿まで彼と歩いてきたが、見たことない建物や、物がいっぱいあった。


そこまで記憶を無くしたのだろうか?


まあいいや


前のことは考えないようにしてる。
あの頭痛ははんぱじゃない!



とにかく、まずは仕事を見つけないと
身寄りもないし金をためて自分の寝床を確保せねば。




あ、もうそろそろ出ようかな。




バシャっとお風呂からでる
扉を開けて、タオルを取って体を拭く





『…………』




拭いていて気づいた。
自分の体には所々傷があった
特に大きい怪我はないが、普通にしては傷が付きすぎだ。




私も女の子なのに……

前の自分は何してたんだ!



バスローブを着た私は少々ムスッとしながらリビングに向かった









――――…










『上がりました〜』



「おーう」



リビングに着くと、彼はなにやらソファに座って雑誌的なものを読んでいた。




「それにしても、いいねー!それ!物凄くエロ!」



バサッとテーブルに本を置く


私も向かい側のソファに座る


敢えての無視。




『あの、お金、ありがとうございます』



「え、無視?無視なの?まあいいや。さて!お話しよーか」



『…お話?』



「えー女の子に聞くのもなんだと思うけど、 ミオちゃん年は? 」



『…15です』



「おお?年下か」



『(この人いくつなんだろう)』




出来れば記憶がないことはあんまりバレたくない



「家はどこにあるの?」



『…え』



ピーンチ!
ミオちゃんピンチ

どこってどこだろう

私もわかりません。なんて言ったら確実バレる


ここが何処だかもわかんないのに




『とおーい所です。』



「…へー、とおーい所ね〜」



『…はい。とおーい所です』



ちょ、そんな疑いの目線で見られても困ります!いや、逆にそんな見つめられて照れちゃう……じゃなくて!つかほんとわかんないんだって!どーしよ…



「それはどこかな〜?」


『とおーい所って言ったじゃないですか。』


「…県とか市とか村とか何とかあるでしょ」


『それがないんすよ』


「…はぁ」


『………』



呆れられちゃいましたよはい。えー、これって言ったほうがいいのかな。まあ仕事とかするのにも困るしねー。言っちゃおうかな〜でもな〜…………よし!言おう!



『あのー』


「ん?」


ニコ顔もらっちゃいましたよ可愛いですね。っと、それより


『実はですねー、えっと、私記憶がないんですよ。』


「…は?」


『いやだから記憶がないんですよ。』


「…またまた〜そんなこと言って謎の美少女気取りでもしたいんじゃないの〜?」


『…さっき私公園のベンチにいたじゃないですか、そこで起きたんです。でもその前の記憶がなくてボーッとしてたんですよ。そこに君が来たってわけです。』



「…えーっと、それじゃあ家出ってのは?」



『んー、嘘かな?でも記憶がないんだし家出みたいなもんじゃないですか?』



「…なんか難しいな。まあ、記憶喪失ってことだよね。」


『そうです。』


「とりあえずー、家はわからないんだろ?」


『はい。』


「んまあ今日はここに泊まりなさんな。俺の家じゃなくてごめんねー。なんせ俺には大事な大事な大事なマイスイートハニーがいるもんでな!女を連れ込むなんてことできるわけないでしょ?」



『へえそうなんですか。』



「あれ?なんか冷たくない?」



このような人でも恋人できるものなのね。おっと失礼。つい本音が。つかそんなの興味ないから



「それじゃ!俺はもう帰るよ」


『あ、はい。なんかすいませんでした。』


「いやいや気にすんなって。可愛いレディーのためなら俺なんだってしちゃうー!」


『…なにからなにまでありがとうございました。』


「え、無視なの?無視?俺泣いちゃうよ!まぁいいや、明日の朝また来るからその時に聞きたいことあったら言ってねーん」


『はい、それじゃあおやすみなさい。』



彼はおやすみハニー!と叫びながら出て行った。
つか大事な大事な大事なマイスイートハニーがいるんじゃなかったのかよ。なんかイタイ子みたいだなあの子。まあ顔はいいのに。

まあいい、寝るとするか!てかベッド広っ。部屋もさっきちゃんと見てなかったけど広っ。あの子金大丈夫かしらん。まあいいか、お金持ってないし。
私はバフッとベッドに飛び込む。ああーフカフカで気持ちいいっ。このまま寝ちゃいそ〜。そういえば髪の毛乾かしてなかったな。まあいいや〜。あ、明日仕事紹介してもらおう。











そうして私は夢の中へ旅立った―――…






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