短編

□溢れる想い
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私には大好きな人がいる。

「しょーちゃんっ」
『んー?』

ソファーに座ってファッション雑誌を読んでいる彼、来栖翔。
私の彼氏様。
しかし、私が呼んでもこちらに見向きもせず、ファッション雑誌を黙々と読み続ける。
なんだか悔しくて後ろから翔ちゃんに抱きついた。

「好きだよー?」
『ばっ///』

いきなり何だよっ!なんて言いながら、こちらを振り向いた翔ちゃんの顔は真っ赤だ。
へへ。やっとコッチ向いてくれたー。

「翔ちゃんが大好きすぎて思わず口からこぼれちゃった」

なんて言えば、“はぁー。お前ってヤツは…”って呆れた顔されちゃった。
だって、大好きなんだからしょうがないじゃないっ。
それとも翔ちゃんは私のこと、ホントはそんなに好きじゃない?
え。それだったらどうしよう…。
もしかして私のことウザイとか?

『何、一人で百面相してんだよ』
「だって、翔ちゃんがため息つくから私のこと嫌になったのかなって」
『なんでそうなんだよ』
「だってー…」

自分で言って落ち込んでいた私の後頭部を翔ちゃんに押さえられる。
するとそのまま、翔ちゃんに唇を塞がれた。
翔ちゃんの唇に――。

「んんっ……ぷはぁー。もう!いきなりキスしなくてもっ」
『お前がくだらないことウジウジ考えてるのが悪い』
「えー?」
『お前は、俺が嫌なやつと一緒に過ごすほどお人よしだと思ってんのかよ』
「そんなことはない・・・と思う」
『自信ないのかよっ!』

だって、翔ちゃんから“好き”ってあんまり言われたことないし。
私って愛されてるのかな。自信なくなってきた…。

「いつも私ばっかり“大好き”って言ってるし」
『つーか、男がいつも言ってたら逆にうざくないか?』
「そんなことないよっ!」

だって、思ってることは言わないと相手に伝わることなんてないんだし。
言わないで後悔するなら、私はちゃんとそのときに思ったことを伝えたい。

「翔ちゃん可愛いし!」
『可愛いっていうな!』
「翔ちゃんは可愛くて、カッコいいよ!」
『っ!』
「それに翔ちゃんは私にとっての王子様だからね」
『わ、わかった!もうそれ以上言わなくていいっ』

口元を手で隠して、ちょっと待てと私の前に手をかざす。
さっきよりも赤くなった翔ちゃんに私はニヤニヤする。
「もしかして翔ちゃん、照れてるのー?」
『な、なんだよ』
「やっぱり可愛いね」
『だから可愛いって言うなっての』

えへへ。翔ちゃんはあまり気持ちを言葉にはしてくれないけど、こうやって態度には出してくれるんだ。
もしかして、私って思ってるより翔ちゃんに愛されてるのかな。

『麗(れい)』
「なーに?」
『ちょっと耳貸せ』
「ん」








―――愛してるぜ麗(れい)。世界一な。




End♪
 

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