短編

□お日様の匂い
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♪音也Side

――ふわふわふわ。
なんだろう。すっごく心地イイな。

「…音也、寝てる?」

あ、麗(れい)の声だー。
そっか。俺、麗(れい)の家にいるんだった。
久しぶりに2人のオフが重なって、少しでも麗(れい)と一緒に居たくてさ。
仕事が終わってまっすぐ麗(れい)ん家に来たんだった。

「んーっ。音也の髪ってお日様の匂いがする」
(えっ!!?)

寝ぼけた頭で昨日のことを思い出してたら、麗(れい)が俺のこと抱きしめてきた。
おかげで眠気なんてどっかに飛んでっちゃったよ。
むしろ朝から違う欲が沸々と出てきちゃってるんですが…。
麗(れい)から触ってくれるなんて滅多にないし、されるがままでいたい気持ちもあったんだけどさ。
もったいないけど、俺は麗(れい)に声を掛けた。

『あのー、俺、そろそろ起きてもいいかな?』
「っ!?音也起きてたのっ?」
『んー。起きてたって言うか起こされた?なんて』

俺が起きていた事によほど驚いたのか、麗(れい)は口をパクパクさせながら顔を真っ赤にさせている。
そんな麗(れい)もめちゃくちゃ可愛いなんて思っちゃう俺は、相当君に惚れてるよね。

「な、なんで起きてるなら起きてるって言ってくれなかったのっ?」
『だってー、麗(れい)から俺に触ってきてくれる事なんて殆どないじゃん。折角だからいーっぱい触られとこうかなって思ってさ』

“それなら寝たふりしててよ”なんていうけどさ、やっぱり我慢なんてできないよ。
いつだって俺は麗(れい)が足りない。この気持ちは収まるどころか溢れるばかりで。
これ以上されるがままになってたら理性が吹っ飛んじゃうよ。
そう麗(れい)の耳元でささやくと、さっきの比じゃないくらいに顔を真っ赤にさせる。

「っ〜!この変態!ばか音也!朝っぱらから何考えて…っ」
『麗(れい)のこと』
「へ?」

大好きな子に触れたいって思うのは当然だろ?
もっと君に触れさせて。大好きなんだ。好き過ぎて、この想いはどうやったら君に全部届くのかな。
顔を真っ赤にさせて怒る君も、天邪鬼で素直になれない君も、どんな君も全部好き。だからさ――

『ね?いいでしょう?麗(れい)を充電させて』


きっと今の俺は“男の顔”をしていると思う。だって麗(れい)が欲しくてたまらない。
ごめんね。この気持ち止められそうにないんだ。
そのまま麗(れい)の唇に近づいていくと、あと少しで触れるというところで麗(れい)が急に叫んだ。

「わかった!全部の用事が済んだら音也の言う事なんでも聞くから!」
『…本当?』

聞き返すと麗(れい)はこれでもかって言うくらい首を縦に振った。

「本当に!ちゃんと約束守るから!ね?」

上目遣いで見上げてくる麗(れい)に一瞬どうしようか悩んだんだけど。
“言う事を何でもきく”という魅力が強かったので、ここはぐっと堪えることにした。

『うん!それならいいよ!それじゃあ時間がもったいないから早く起きよう!』

麗(れい)の用事が早く終わるように俺も手伝うからね♪
さぁ、まずは朝食からだ!
そう思って、俺は鼻歌を歌いながらリビングへと向かった。

――今日の夜が楽しみだなぁ。麗(れい)にどんなお願いごと聞いてもらおうか考えておかなくちゃね。





End♪
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