弟俺

□輝いてて
2ページ/3ページ


「世史!」

「……んだよ。」


ソファーで
野球観戦していた世史を
引っ張り出す。


「オレの部屋!」
「ふざけんな!
オレは今野球…、」
「知ってる!!

でも今だけこっち来い!」



世史を部屋に入れて
ドアを閉める。

電気消して
座らせる。




手作りのプラネタリウム。

スイッチを入れる。







「ッ…なんだこれ…。」

「すげーだろ…?」




「すげー以前に意味わかんね…。」





あ。
あった、
輝いてる。



触れようとして
手をのばす。

やっぱ遠いや、
距離は同じなのに。





一番まぶしい
あの星の名前は
オレしか知らない。






天井も壁もなくなった。


あの星だけみていたい。





お前の一番近くには
俺がいた。

今も。
ここでも。




「あんな星あったか?」
「えっ
なんでわかった?」

「……今の日本に
あんな輝く星ねぇよ。」



笑ってるのかもしれない、
って思った。





世史になら
触れられる。

あの星は
あの星の俺にしか
届かない。




「あの星の名前、」
「あ?
やっぱ創作かよ。」

「世史ってんだ。」



正直、
何も言われないのは
意外だった。
けなされるの覚悟だったし。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ