ちとくら

□金ちゃんはヒーロー
1ページ/1ページ

千歳千里という
熊本訛りの男がきおった。




めちゃくちゃ上手い。

そら、
言い表せんくらい。







そんで俺は―、




「白石はむぞらしか。」




そう言われ続けている。






どんな意味やねん。

わからんわ。






東京で似た発音の
難しい、がある。



白石って難しい。





もっとわかんなくなったでぇ?





ほんま何者や、
千歳。





「金ちゃんだけたい。


よう理解しとる。」



「白石は鈍感やからな!」




部活終わり、
二人が話してるのを
聞いてしもうた。




何の話や?


それに俺、
金ちゃんよりは
鋭いで?






「こぎゃん
言うとんのに
よう伝わらんばい…。」



「白石は鈍感やから。」


「鈍感鈍感うるさいわ!」




…あ。

思わず
飛び出してもうた。





「白石、
ほんこつむぞらしか。」



またそれかいな。



わかるように話してや。




「千歳、
わかっとらんよ。」


「ここの言い方は
ようわからんばい。」




なんやねん、
二人して。




「誠意で示すんや、
千歳。」



千歳は改まって
まっすぐに言った。


「蔵。


ほんまかわええなぁ。」




千歳の低音ボイス。

関西弁は反則や!





むぞらしい、
ってまさか…。



かわええ、のことか?





「千歳、赤くなっとる!」

「うるさいばい、
金ちゃん…、


恥ずかしいたい。
関西の言葉は。」




「千歳。」
「なんね、白石。」





「千歳はむぞらしかね。」




「ッ…、

白石の方が
むぞらしいばい。」



「おおきに。」





どうやら
俺は、


金ちゃんに助けられた、
らしい。





こいつともっと
仲良くなりたい、
そう思ったんや。





ったく、
俺もほんま
むぞらしか、やわ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ