謙光
□ペンダント
1ページ/1ページ
「あ、あれええなぁ。」
学校帰り、雑貨屋を通り過ぎようとしたときに謙也さんは言った。
赤色のペンダント。
時計のように丸く、しかし中身は月を閉じ込めてある。
宇宙を表現したのであろうそれはきらきらしている。
「ほんまっすね。」
「しまった、今持ち合わせが足りん。」
財布を見て、ガラスの向こうのペンダントを見る。
「お金なら俺が…、」
「嫌や!俺が買いたいんや!」
嫌や!
ってなんや!
出そうとしていた財布をしまうと、謙也さんは歩き出した。
そして、「うーん、どうにか工面できんかなあ…?」とゴニョゴニョ言っている。
謙也さんは俺より一つ年上の先輩。
だけどかわいい。
(反則や。)
好きになってしまったら後輩なんて。