島準

□余裕
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準太をそういう風に意識し始めたのはいつからだろう。




ずっと前から、
なんて言葉は使うつもりもない。



多分
すごく最近のことなんだ。

















「慎吾。」
「いやらしんご〜。」


「和己、……山ちゃん。」




同期から呼ばれるのは
俺の名前。





だけど
特別な響きを持つのは



「慎吾さん。」



準太だけ。









「なぁ、準太。」



「なんすか。」







可愛い瞳が俺を捕らえる。






そして、目をそらす。


そんな動作が可愛くて。
覚えた感情、押さえつけて。




「慎吾さん、
俺、知ってますよ。」


「え?」
「好きなの。」

「どうして俺がお前のこと好きだって知って…。」





そう言うと、呆気にとられた顔。



「ちっちがいます!
俺が言ったのは今朝話してた、」

「おう!」




そっちか、と気付いた頃には
もう遅くて。


照れた頬を
恥ずかしい瞳を隠すように
片手で顔を覆う。




「………余裕ねぇよ。」
「え?」



腹くくってまっすぐに見る。






「俺をこんな惚れさせたお前が憎いよ。」











みるみる内に
準太の顔が赤くなっていく。







また俺は笑んでつぶやく。










「…可愛いヤツ。」

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