島準

□時々
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時々、わからなくなる。




「準太〜。」
「なんすか、慎吾さん。」


会うたびに抱きしめてくる、
力強い腕も。


「特に用ねぇけど、」



女には見せない表情も。



「お前見つけたから。」



これでもかってくらいの殺し文句も。






―時々、わからなくさせる。







「慎吾さん。」

「ん?」
「今、彼女いましたっけ。」




そんな質問をすると、
見透かしたような笑みを残して。



「いないよ。」







「………そっすか。」




俺よりでかい丈も。




「準太は可愛いなぁ。」
「そんなこと言うから
いやらしんご、
なんて言われるんですよ。」




「準太にしか言わねぇよ。」

驚きながら
当たり前のように言うのも。






「慎吾さんはナルシスト。」
「はぁ?」


「慎吾さんは女たらし。」


悔しくなって
思いつくだけ言ってみる。


「慎吾さんは嘘つき。
かっこつけ。
運動神経よすぎ。
頭よすぎ。
かっこよ、っ!?」


いきなり強い力に
抱きしめられた。



「準太を愛してる。」





―時々、わからなくなる。



「……慎吾さん、
かっこよすぎです…。」







こんな人に惚れてる自分も。



嬉しそうに笑う慎吾さんも。











何もかもがときめいていて、
素直で、
純情すぎるくらい眩しいから










―時々、わからなくなるんだ。

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