ハイキュー!!

□そんなモノなんか。
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ストレッチが終わった後の体育館で
「今日帰ったら電話するな!」
と、木兎さんは言った。
練習終わり、疲れている中で。

俺と木兎さんは何の関係もない。
強いて言うならチームメイト。
もっと言うなら先輩と後輩。

ただそれだけだったから、
この気持ちを俺はまだ肯定しない。





「ただいまー…。」
「京治、ご飯はー?」

「いる。」



キッチンの母に一声かけて部屋へ向かう。
疲れた体を放り出して、
携帯を見る。

着信なし。
メールもなし。


Twitterを開くと、
部活の間見れなかった友人のあれこれが一瞬で流れていく。


ただ、その流れに一匹の梟。

ステーキとハンバーグ両方!

アホみたいな文字とともに、
美味しそうな写真。


おそらくどこかのファミレスであろう。
写り込んでしまった、もう一つのグラス。


あ、木兎さん誰かと一緒にいるんだ。
なんだ。


同時に枕に顔を押し付けて、
ぎゅっと握りしめる。
少し、苦しい。


手の中で、携帯が震える。
何度かコールした後、
俺は諦めてスライドする。


「赤葦〜!」
「…もしもし。」


「…拗ねてんの?」


そんなことを言われたら、
気付いてしまう。
この人はわざとやっている。

「…どうでしょうね。」
「…、」

曖昧に返したせいでこの人は返事ができない。
俺は深くため息をついた。

「ごめん。」
「え。」


予想外の言葉が胸に響く。

「木葉のシューズ選びに行く予定だったけど、今日店休みで飯だけ食べてきた。」
「そうですか。」

「〜そういうんじゃないんだって!」

慌てているのが、わかる。
自分が嫌に冷静なのもわかる。


「だから、違う、ごめんって、」
「おやすみなさい。」
まだ何か言おうとした木兎さんを遮って一方的に電話を切る。

「やましいことなかったら、ごめんなんて言いません。」

独り言でそう呟いて、
携帯を放る。



俺はこの感情をまだ肯定しない。

ただのチームメイトである間は。





恋愛感情なんか。

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