ハイキュー!!

□罵り合い
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「ねえねえ、岩ちゃん、俺ってイケメン!?」

パンを頬張る俺の目の前に
いきなりウザい笑顔で及川がやってくる。


朝一番。
なんて鬱陶しい。



「イケメンじゃね。」
「つめたいっ!」


窓の外に視線を向けて、
及川をなるべく捉えないようにする。



よくあることだ。高校生に。
互いをブサイクだと罵ること。


だがこいつの場合タチが悪い。



自分をイケメンだと認めさせたいのだ。
つくづく変なヤツだと思う。



「どこがイケメン!?」
「…サーブ。」


自分に酔いしれてる及川を見ずに
携帯を操る。

ゲームを起動させて、
及川をシャットアウトした。


「サーブね!なるほどー!」

ウザいくらいの高いテンション。
俺は無視してゲームを始める。

「俺ってイケメンだよね!」
「そーだなー。」


すると突然がしっと及川の手が俺を掴む。
その瞬間ゲームが終わりを告げた。



「おいクズ川!」
「岩ちゃんはイケメンだね。」

「いいから手を離しやがれ!」


いつもと違ったこいつの目に
無理やり手を離すことはできない。


「岩ちゃんは全部がかっこいい。」

そんなことを言うから無理やり手を離せない。
「何言ってんだお前、」


「かっこよくて大好き。」




あぁ、こんなことなら罵り合ってた方がよかった。
恥ずかしくて今にも逃げ出したい。
いつもイケメンイケメン言ってるのは自分のくせに。


手元の携帯には赤いランプで
ゲームオーバーの文字が光っていた。
及川に惚れた時点で俺の負け。




「…勝手に言ってろ。」
イケメンだと言い合うのが
こんなにサマになるなんて。


────イケメンにはかなわない。

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