ハイキュー!!

□続・一時間さえ
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「俺の手伝いなんか珍しいね?」
再び教員室に向かう途中、
俺は隣の国見に聞く。

国見は涼しい顔をして
見当違いのことを言った。

「及川さん、今日の部活なんすけど、」
「岩ちゃんのこと好きなんでしょ。」


横目で見やると、
少しだけ目が見開いて
その後すぐに微笑んだ。



頼まれていたダンボールを二つずつ持って再び移動する。
それらを資料室に運んで、
棚にかたしていく。

「さっきの、」
「ん?」


国見はわざわざこちらに向き合って
正面から俺を見た。

「岩泉さん好きなのは及川さんもですよね?」



その圧に押された。
俺はぐっと身を乗り出して答えた。


「国見ちゃんには渡さないよ。」




「…岩泉さんは及川さんが好きです。」
「えっ!?」



「なんて?
二人をくっつけようとはしませんよ?」


最後のダンボールをつぶして、
そのあとでドアを開けた。
振り返りざまに一言。

「俺、もらっちゃいますよ?」

カタン、とドアが閉まる。


後輩にそんなことを言われて、
気が気じゃない。



資料室にチャイムが鳴り響く。

「やばい!」
急いで教室に向かう。
ドアを開けると、ぱらぱらと席に戻り始めていた。

いつもなら岩ちゃんに話しかけるところ、

緊張して
らしくない。


『俺、もらっちゃいますよ?』

国見の声が離れない。
一刻も早く、俺のものにしたくて。


時計を見る。


あぁ、あと一時間。
一時間さえ長く遠い。




君に一秒でも早く伝えたい。

ねえ、やばい。
いったん意識してしまうともう止めたくない。


好きだと、
ただ君が好きだと。




今伝えられたなら。
(国見ちゃんのバカ。)





(岩ちゃん、待っててね。)
一時間さえ 、俺 を 焦 ら す ん だ 。







→あとがき&解説をぜひご覧ください
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