ハイキュー!!

□一時間さえ
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そうかこれが恋かと
気付いたワケじゃないんだ。
認めたくなかった。

よりによってアイツのことを、

「岩泉先輩!」
いじっていた携帯から顔をあげると
教室の外から国見が呼んでいた。

「おー、今行く。」
ポケットにしまいこみ立ち上がる。



「今日の部活なんですけど…、
あれ?及川さんいませんか?」

いつも俺を呼ぶとついでに
(むしろ聞くべきは主将)
及川徹が隣についてくるはず。
今日は俺一人しかいないことに国見が首を傾げる。


「教員に呼ばれてった。」
「女ですね。まあいいです。」


そう言ってぺらぺらと喋り始める。
国見はなんだかんだ及川を信頼してると思う。
今だって「及川さんは試合中は…、」なんてことを言っている。


階段の方を見やると、
及川と教員が一緒にあがってくるところだった。

「あ、岩泉さん。及川さんきま」
きましたよ、と言いかけたところを遮る。

「はははっ!んだよ国見それ!」
大げさに笑ってみせれば、
及川がこちらに気付いた。

「ほんとお前面白いな!」
「岩泉さん、別に笑うとこじゃ…、」


「ちょっと何!?二人とも!」
及川さんも混ぜてよ!と
駆けてこちらに来る。

国見は納得の顔で俺を見る。


「は?クズ及川は手伝い行けよ。」
「ひどいっ!」

しっしっ、と手をふると
そっと国見が耳元で囁いた。



「かわいいとこありますね?」




「…るせぇ!国見早く帰れ!」
「どーしたの、岩ちゃん顔真っ赤!」

パコンと及川の頭を殴って、
俺は教室へ戻る。

及川は渋々手伝いに戻るようだ。
その後を「手伝いますよ。」と国見がついていく。




わかってんだよ、こんなの。
アイツに気付いて欲しくてやってんだよ。



自分でもありえないくらい。

だけど認めたくない。
「こんなの恋に決まってんだろ…。」




チャイムが鳴ると及川が戻ってきていることに気づく。
いつもなら教室へ入ると同時に俺を呼ぶのに珍しいこともあるもんだ。

ああ、やばい。
いったん意識してしまうともう止められない。

好きだと、
こいつのことが好きだと。



授業の一時間さえ苦痛になる。
(クズ及川のくせに。)






(…俺を惚れさせやがって。)

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