ハイキュー!!

□始まりの予感
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その姿に見惚れて、まさかと思った。
気づいてしまった。

「…困ったな。」

「どうしたクズ川。」


岩ちゃんが容赦無く球を出してくる。
それに軽く相手をしつつ、
話し出す。



「岩ちゃん…、俺恋しちゃったかも。」


そう言った瞬間、
岩ちゃんの手が止まった。

球は何度かバウンドして床に転がった。


そのはずだ。
キャーキャー騒がれっぱなしのこの俺がついに特定の子を。


驚いて何も言えない岩ちゃんに
俺は続けて言った。


「バレー部なんだ。」



「…女バレだよな?」

「ううん。」



岩ちゃんの顔はみるみる怒りに満ちていった。

あ、やばいと思ったその時にはもう遅くて。


「っざけんなー!くだんねえこと言ってねえで練習しろ!」



冗談だととられた言葉が
今度は俺を刺す。


「ねえ、岩ちゃん誰だと思う?」

よほど俺の顔が真剣だったのか、
岩ちゃんは少し考えて言った。

「……俺か?」
「そう!さっすがぁ!」


今は多くは望まない。

でも、気づいてしまったから


このまま隠せるわけないから。




「好きなんだ、岩ちゃん。」


困ってしまう。
でも、知っておいて欲しい。


「困った、」
岩ちゃんは真顔で言った。




「今及川のこと少し 可愛い って思っちまった。」




そんな風に言うから、
俺は全身の熱が全て顔に集まって
「へっ、…岩ちゃんそれ、」
「少し!つってんだろクズ川!」

「ひどい!」



岩ちゃんは背を向けて
違う練習にいってしまった。

だけど俺にとっては…


「困ったな、こんなに好きなんて。」






恋の始まりの予感がするんだ。

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