*頂き物・授け物*

□空には。
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空がまぶしい。

いや、
太陽がまぶしい。



「水谷?」



澄んだ声が降りかかる。



「どうしたの?」
「うん…、
ちょっとまぶしいなと思って。」


「今日くもりなのに?」




「……出てるの!」

「ふーん…、
俺には見えないや〜。」




できることなら
雲の暑いベールで
隠してしまいたい。


―その笑顔を。




「あ、
今日からケーキ屋さん
安売りだよね。」
「あー…、」
「…行く?」




その言葉に
その微笑みに

その赤らみた頬に

意味があるのかわからない。



ただわかるのは
俺に否定を選択することは
ない。




「行く行く!」




それが


栄口を喜ばせるなら。






「じゃあ決まりね!」






「うん!」







[…行く?]



その意味は
たくさんあって。






でも
口の動きでわかって。







―「二人で」行く?―






「水谷?
どうかした?」


「ううん。


なんでもないよ〜。」






こんな些細なことに
にやついてる俺は
重症だと思う。





あんな可愛い顔見れるのは
俺だけ。







―ほら、
雲間に日が射してきた。




「行こ!」


「あっ
ちょっと待ってよ!」




走る君を追いかける。









今日もまた
雲は流れる―…。

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