その他テニプリ

□後輩の恋人
1ページ/1ページ

俺によく相談できるなぁ。


気軽に。
何も、思ってないんやろ?


「白石?
聞いとる?」


「んあ?
おぉ、聞いとるでぇ。」



俺の想い人・謙也。
後輩の財前と付き合うてる。


「でなぁ、
冷たいねん。最近。」




確かに、ちゃんとアドバイスするつもりやけど。


気付いてへんの?
俺の気持ち。






俺とこいつの間に
いつか入り込んできた。
財前光。



そして
その天才は


謙也と恋をした。






せやけど
最初に好きになったんは
俺やから切ない。


お前らは知らんやろ?




「わぁー…、
満天の星空やでぇ…。」


「せやなぁ…。」


可愛く空を見上げて。


財前の前やったら
どんな風に笑うん?


「謙也も星やんなぁ。」
「ん?」


「スピードスターやん。」





可愛く笑うから
また涙が出そうで。


「流れ星やんなぁ…。」
「えっどこや!?」


「…嘘や。」
「おっ、白石ぃ!!」
「すまんすまん。」


ごまかした。
伝えて終わらしたかった。


でも
勇気だけじゃできないこともある。



財前は可愛い後輩。





でももし
このまま二人だけの時間が
永く続くなら
あの星空へ

連れ去りたい。







「謙也…。」
「おん?」

「どんくらい好きなん?」
「はっ!?」




あからさまに可愛く
動揺した。


「そんなんっ…言えへんわっ…。」




「………さよか。」


無理やり微笑んで
俺はまた隣を歩く。





財前のどこに惚れたん?



日頃は俺の方が
モテる方やけど
ここぞって時に
もってかれる。



「まぁ財前なら優しいし
ええ奴やからな。」


なんて言って
わかってるくせに
心が納得してない。


動き出さなきゃ
始まらないのに。




「せやな!」



友達で始まった俺らだから
困る。



後戻りできない。
けど
好きなまま。



これでええんか?






気持ちの一押し
なかなか
踏み出せない俺は
いつもオサムちゃんにも
気持ちを出してけ
って言われてた。





「ほんまきれいな星やな。」


「せやな。」




星の数ほどいる人の中で
どうして



が好きなんだろう。




こんなたくさん
星は輝いてるのに


どうして俺は
謙也しか見えへんのや。




星の数ほどの人の中
一番不幸だなんて思わないけど…。





「なぁ白石。」
「おん?」


「あそこに立っとるの、
財前かなぁ。」



俺らがいつも寄る
謙也の家の近くのコンビニ。



「財前…やな。」





俺だけやったんや。






「友情」なんて言葉出して
悩む姿が悔しい。




「財前!!」
「………謙也さん。
遅いっすわ。」
「なんやねん!!」



「あ、部長。
お疲れ様です。」


「差別?」
「おぉ財前、お疲れ。」




「こら財前!!
無視すな!!」

「ええやろ、別に。

俺の勝手やん。」


「なにおう〜!」

でも俺は気付いた。




俺がこんな風に悩む姿より

二人が似合うのが
もっと悔しい。


(くそっ…。)





星の数ほどいる人の中で
謙也に出会えたのは
嘘じゃない。






だからもし
このまま二人だけの時間が
永く続いても
どこへも連れ去らない。



幸せそうに笑う
その顔も嘘じゃないと
思うから。






「謙也。」
「なんや。」



財前とのコントを
一時中断。



「財前に会えてよかったなぁ。」
「なんや、やっぱ待ってたんやないですか。」


「待っとらん!!」



顔が真っ赤になりながら
弁解しても説得力ないで。



「俺は待ってたんやけど。」
「ッ……。」






この関係が続くように。


俺は何もしない。





だって、



「ほんまかわええなぁっ、
謙也はッ…。」




君がやっぱり


好きだから。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ