その他テニプリ

□ヘタレじゃないスピードスター
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「謙也。」
「おん?」


うわ、
そんな真剣に
見つめんといて。

かわええし、
緊張するやんか。


「………なんでもあらへん。」

「変やなぁ!」


ほんまやな、
そう言って笑う俺は

意気地無しや。




「白石ぃッ!」
「金ちゃん、」
「元気あらへんな!」


「……気にせんといて。」


金ちゃんにまで
心配かけてんねんな。


「おおきにな、
金ちゃん。」


愛想笑いも空回りや。




「白石、
なした?」
「千歳…。」



気ぃ遣って
小声で聞いてくれる
千歳は
やっぱりええ奴や。




「好きな子にコクりたいねん…。」

「コクればよかとよ。」



「できひんのや…。」



その言い方で
察したらしい千歳は
愛くるしく笑んだ。


かわええやないか。




「財前に協力してもらえばよか。」

「財前やて?
なんでや?」



「謙也と仲良いばい。」

「…それ以前の問題やろ。」





財前に言うてみ、
からかわれるに
決まっとるやん!



「……ま、
白石の苦労もわかるたい。


謙也鈍感ばいね。」




「せやなぁ…。」




俺が好きなんは
決定事項なんやな。
まぁええけど!



ばれとるのは
納得いかんけど
やりやすいしな!



「白石、

話ええか?」




「おぉ…、なんや?」

「ここじゃあちょっと。



屋上行こうや。」


「珍しいなぁ。」





ちょっと、
期待してもええんか?


好きやねん。





「なぁ、白石…

俺好きな子がおんねん。」


予想外すぎるやろ!


どないすんねん。
落ち着けや、聖書。


お前は完璧にできるやろ。



「それでな、

その子の好きな子も
知っとんねん…。」



俯くそいつは
親友の俺にしか見せない
哀しげな顔をした。



「さよか…。


その好きな子の好きな奴は

誰やねん?」



「…千歳やねん。」


「そらまた強敵やな…。」




千歳言うたら
めっちゃモテるやん。


「で、
千歳もそいつのこと
好きやねん、多分。」



「そら修羅場やな…。」



そないな可愛い子のこと
好きになってもうたんか、
謙也は。




会うてみたいわ。
「せやけど、
気持ち伝えたいんや。」


「さよか…。」



災難やな。
玉砕覚悟やん。

そんなに好きなんか。
……羨ましいわ。




あ、せや。


「肝心の好きな子は
誰やねん?


あ、1組の子か?
かわええもんな。」


「ちゃうよ。」



謙也ははっきり
否定した。



他に思いつかん!





「どーしても
諦められへん。」

「その気持ちは…ちょっとわかるでぇ。」



こんだけ
親友として
相談に乗っても
全然諦められん。


きっと
一生無理なんとちゃうか?





「俺なんか
好きな奴に目の前で
好きな人の相談受けたわ。


しかも
本人無自覚のモテっぷり。


呆れるわッ…。」



「白石も大変なんやなぁ。」



お前のせいや(笑)

なんて、
メールみたいに
顔が見えなかったら
わざとらしく
(笑)
をつけてるところだ。




「俺の好きな子もな、
めっちゃモテんねん。


美人やし。」



そら千歳が惚れるなんて
そうとうやろ。


俺も見てみたいわ。





「やから…その子、
誰なん?」



「ん?」
フェンスに手をついて
外を見る。



「白石やで?」



当たり前のように
にっと笑う、で、
哀しい瞳をする。


「は?」



聞き間違い…やあらへんよな?

頭おかしいんとちゃう?



「白石が好きやねん。」



ヘタレ。
ずっとそう言っとったんに
もう言えへんやん。



ずっと言いたくて
言えへんかった。



「謙也…、」

「おん?」



今だけは君にちゃんと。





「好き…やで。」

「……ほんま?」
「ほんま。」





「千歳は?」
「お前の勘違いや。」




そう言ったら
ニコッと笑って、で、
可愛い顔したから
俺はぎゅっと抱きしめて







小さくキスを落とした。

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