その他おお振り

□始まり
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「利央、」
「なんだよ、準さん。」

じーっと見られると
照れちゃうわけで

「ちゅーしていー?」

そう言うとにこっと笑って

「ヤだ。」

なんて言うから
ムカついて無理やり
唇を奪う。


それでも準さんは
笑ってるから

あれ?はめられたかも、
なんてどうでもよくて。



「利央。」

また
そう呼ぶ。



俺は準さんがいなくなったら
どうなっちゃうんだろう。





消えるようにそこにいて。









気付くように微笑んで。





「利央。」


その声で
どうにかなっちゃいそう。



「利央、」


耳元で囁かれると気持ちいい。


「あ、ふるえた。」




そう言って
服の中に手をすべらせる。




「犬みてぇ。
でっけぇ子犬。」


「……ッ、」



耳を噛まれたら
背筋がのびて。




「利央。」



首筋を舌が這う。







耐えきれなくなって
また求める。




「準、さ…。」


「利央、」




あ、
苦しい。


苦い。

いたい。







耐えたくない。






「好きだよ、準さん…?」


「………ぉぅ。」




わかってるはずなのに。




だからさ、
そんなに寂しそうな目をするのは
いい加減やめてよ。





結局
惚れてるのも
俺なのに。






「ごめんな、利央。」




耐えられない。







「好きだよ準さん…?」


「………ん。」






そんな平穏が嫌なら

この際
この関係もやめにしましょうか。





「準さん、ちゃんと見て。」

俺の目。
まっすぐに。




「準さん、」









ちゃんと恋をしようよ。




「俺、準さんが好きだよ。」

「うん、しって、」
「知らない。」





細い肩を押し倒す。


「どれくらい好きか、知らない。」
「………。」




黒い綺麗な髪。
端整な顔立ち。


それ以上にもっと
準さんが好きで。




「離れたくない、くらい
好きなんだよ。」

「利、央…?」


戸惑うのもわかる。

だって俺普段こんなことしないもんね。




でも今日はうざいくらい
熱くなりたい。




「準さん、」

後戻りなんかない。
したくもない。


覚悟決めて、飛び込め。






「俺と恋しよう。」



視線を追う。





ためらって、俺。

それだけでわかった。




「生意気なヤツ…。」
「なんとでも。」



ここからじゃん?
そう

これからじゃん。








今、始まる。
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