short1

□溺愛girl
1ページ/1ページ







「ああ、ほんまにらんはかわえぇな…。」



「クスクス、ありがとう、財前くん。」



「財前くんやないやろ?

 かわえぇ口で俺の名前呼んでぇや。」



「そうね、光くん?」







首をかしげて彼の名前を呼ぶと、花がほころぶように笑う。







「ほんっまにかわええ!

 どうされたいんやろか、この子は!」







ギューッと後ろから私を抱きしめ、首筋に顔を埋める。


彼の髪がくすぐったい。








「くすぐったい…。」



「今、充電中やねんから。」







それは、たいそう燃費が悪いことだ。


目の端に横切っただけで、すぐに『かわいい』と連呼して抱きしめられる。


場所なんて彼には関係ないようだし。







「ねぇ、宿題、教えてくれる?」



「えぇで。
 
 どこや?」



「この、『汝は誰そ。』ってなんて訳すの?」



「それは、『お前は誰だ。』って訳すんやで。」






古典が得意な光くんは、私によくこうして教えてくれる。


そうして、時間ができて、ふたりっきりになると彼の壊れっぷりは急激にひどくなる。







「蘭香かわええ。流石俺の彼女や。

 かわええ、かわええかわええかわええ…(エンドレス)」
























(私も、光くんのこと好きだよ?)


(な、何てこというんや…)


(え、まずかった?)


(あぁ、愛してるで。かわえぇぇぇぇぇ!)















クールって言われてるけど、こんなにキャラが崩れるのは、きっと溺愛girlの私だけだね。






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ