short1

□一目ぼれ
1ページ/1ページ



転校してきた私は、四天宝寺中という中学校に向かっている。



お父さんも地図を渡して「行って来い」だけしか言わないし。

初日くらい送って行ってくれたっていいじゃん!



と文句を言いながら歩いているといつの間にか校門に着いた。



やっと着いたと思って学校を見上げると


「え…お寺じゃん…」


道を間違えたのだろうか。
周りを見渡してもまだ朝早いからか人がいない。

これは困ったと唸っている私の元に包帯を巻いたイケメンが寄ってきた。




「自分どうしたん?
 困っとるみたいやけど…」


「あ、四天宝寺中ってここであってるんですか?」


お寺を指差しながら困ったように聞いてみる。
地図どうりに来たから地図が合ってたらここなはずだ。



「せやで。
 自分転校生か?
 標準語やんな?」



本当にこのお寺が中学校なんだ…


「あ、はい。
 今日から転校してくる一色 蘭香です。」



「俺は3年の白石蔵ノ介や。
 よろしゅう一色さん。」


自己紹介とともににっこり笑いかけられた。

かっこいい…



「こちらこそよろしくお願いします。

 同学年ですね。」



「なんや、一色さんも3年か。

 敬語はいらんで。」



白石君を見ているとじんわり顔が熱くなる。


「そう?改めてよろしく。」



悟られないように下を向いて握手をした。



ああ、

「「一目ぼれって本当に(ほんまに)あるんだ(あるんやな)…」」





思っていたことが口に出てしまって、しかも彼の言葉と重なるものだから驚いて顔を上げてしまった。



「え…?」



彼の顔も真っ赤だった。
私の顔も真っ赤なはずだ。




「自分かわいいわ…///」





そんな彼を見て、二人で一緒に一目ぼれなんて運命かも、なんてがらにもないことを思った。















(一色さん、一目ぼれしてしもた)


(わ、私も)


(付き合おてくれる?)


(うん///)












校門前で一目ぼれ


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ