私は貴方の護衛です☆

□第十二夜
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Zの円卓から研案塔に帰っている時、アンリのもとに一つの連絡が入った。


それを見て、顔色を変えるアンリ。



「どうかしたか。」



アンリのただならぬ様子に燭が問いかける。



『…无くんが、また倒れたそうです。』


「なんだと!?」



一度しかなかった无のそれに思わず声を上げる。



『頭を抑えて倒れたようで、以前と同じ症状だということです。

 今、研案塔に无を運んでいると…。』



「…わかった。

 急いで戻るぞ。」




―――研案塔




「運ばれた无に、今ついているのは療師か!?」


「ハイ!
 燭先生…っ」


「ならいい!

 そのままお任せして――」



指示を出す燭のそばで、アンリは向かってくる気配に神経を尖らせていた。


こんなところで行動に出るほど相手も馬鹿ではないし、平門も護衛をつけているようだが、念には念を入れて。



「あ、燭先生、どうも〜」


「糺。」



やってきた糺に気取られないようにいつもの笑みを向けた。



『こんにちは。』


「あ、こんにちは。
 アンリさんもいらっしゃったんですね〜。

 これ、このあいだ許可いただいて採ってきたニジの森内の生体サンプルで〜
 まだ分析終わってないんですけど…」



二人の会話を黙って聞いているアンリ。


アンリは糺の一挙一動全てを観察するように見ていた。

何か不穏な動きがあったら、すぐに取り押さえられるように。


完璧な証拠はないが、あたりは付けている。

アンリの経験と、勘が糺が何かを隠していると言っていた。



「君が肉親すべてを能力者で失ってから、もうずいぶん経ってしまった。

 ―すまない。」



「あ…いえ…
 私はその、なんていうか…

 あれは仕方のなかった事なんだと、思えてきてるんです。」



やはり、言葉の端々によくない感情が見え隠れしてる。

そう感じたアンリは黙り込んだ燭を促した。



『…燭さん、そろそろ…』


「あ、燭先生はこれから平門さんのデータ分析ですよね〜

 私はサンプル届けて戻ります〜」


「頼む。

 行くぞ。」



『はい。』













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