私は貴方の護衛です☆
□第十一夜
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『燭さん、そろそろZの円卓に行く時間です。』
「もうそんな時間か…
行くぞアンリ。」
无の状態についての報告をするために、わざわざZの円卓に足を運ぶことになった燭。
当然、護衛役のアンリも付いていくことになっていた。
―――Zの円卓
「情報自体が何らかの罠という心配はなかったのですかな、輪統括指揮官時辰殿?」
嫌味の飛び交うこの会議。
アンリは燭の隣に座って呆れそうになるのを押さえ込んでいた。
「慎重な道ばかり選んでいる時間も我々にはありません。
その危険を承知で、部下達も行動してくれています。」
そこに、朔は場違いとも取れる一言を発する。
「嫌味に律儀に答えてっとさー、ハゲんぜーー時辰。」
「あはは…
ハゲ…
…いや…」
アンリが苦笑いをしている隣で朔の発言には触れず、報告の許可を願う燭。
「許可する、燭君。」
「まず「无」についてですが、過去一度ありました発作はあれから一度もなく、健康状態は―――」
燭の報告が一通り終わったところで再び質問がとぶ。
「燭君。「嘉禄のノート」の件はどうなっているのだね?」
「はい。
書かれた数式から答えを導き出し、答えから数式を組み立てながら、はじき出された記号を並べ、意味を探っているのですが、ノートが半分破かれ、失われた部分も多い為、正解という結果を導き出す事は容易ではありません。」
問われるのを分かっていたように答える燭にアンリは少し心を痛めた。
解読できないことを悔しく思っていることを知っていたから。
「ですので、過去分離に関わった人物の詳しいデータ…
身分に拘らず、すべての関係者のデータ閲覧を許可して頂きたい。」
「燭君、君は、身内を疑っているのかね。」
見当違いな言葉に今度こそアンリは呆れた顔をする。
「そうではありません。
答えを探しているだけです。」
大体、彼らの言う「身内」の裏切りがなければ、「火不火」は生まれなかったというのに。
アンリは言葉にしなかったが、同じことを思った朔はもちろん口に出した。
「今更だろ〜。
過去あんた等の仲間だった奴が宝箱持ち出さなきゃ、「火不火」は生まれなかった。
同じ失敗しねーように、目はよく通しておこうぜ?」
言っていることは正しい。
しかし、言い方が悪い。
「うおほん!
朔!
君は言葉遣いを改めたまえ!」
「それは私も同感だ。
アンリを見習え。」
引き合いに出されたアンリは燭の意見に賛成だったので微笑んで口を開いた。