私は貴方の護衛です☆

□第十夜
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與儀が脱走して数日。


无の検査を行っていた。



――コンコン



『アンリです。』


「どうした。」



无の検査が丁度終わったころ、アンリが扉を叩いた。



『平門くんがお話があるそうです。』



平門と聞き、眉間に皺がよる。



「…分かった、行こう。」




――カチャ




「无はどうでしたか?燭さん。」



扉のすぐ前に佇む平門に眉を寄せる。



「平門…。」


「ハハッ、そんなに顔に出さなくても。
 屋上まで少しよろしいですか?」



二人の様子を見ていたアンリは言った。



『无くんを送ってきます。

 後で屋上に迎えに行きますね。』


「…ああ。」







―――――――




アンリが屋上に行って、まず見えたのは、燭の怒りに耐えている姿。



「ああ!

 どーしても俺がお嫌でしたら、朔でもかまいませんよ?」



次いで、笑顔で手を広げる平門。

思わずため息を吐きそうになるのを耐えて言った。



『燭さん、そろそろ與儀くんの検査の時間です。』


「…分かった。」



燭は平門に目もくれず、身を翻す。

後に続こうとしたアンリは思い出したように、平門に近づいた。



『あの件については私も気を配っておきます。』


「ああ。
 頼んだ、アンリ。」



平門の言葉に綺麗に笑顔をみせ、了承を示す。



『…無事でいてくださいね。
 私の友人なんですから。』


「フッ、アンリもな。」



そしてアンリは今度こそ燭を追って行った。


今頃可哀想なほど泣きそうになっているだろう與儀を助けに。








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