リクエスト

□連載if 朔
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「アンリ。久しぶりだな。」


『あ、朔くん。
 お久しぶりです。』



研案塔で燭の護衛をしているアンリと第一號艇長の朔は互いに忙しく、頻繁に会えるわけではない。


…たとえ付き合っていたとしても。



「燭ちゃんに用があったんだが…」


『燭さんは今、検査をしておられますから、こちらで少し待っていてください。』



アンリが通したのは待合室で、誰もいない個室だった。


朔はソファに座り、アンリもその隣に座ろうとするが、朔によって阻まれる。



「アンリはここだ。」



そう言ってアンリを引き寄せて座らせたのは朔の膝の上。



『つ、朔くん…///』



当然アンリは恥ずかしいので、すぐに降りようとする。

しかし、朔はアンリを抑えて、その顎に指をかけた。



「久しぶりだろ…?
 それに燭ちゃんもいない。

 俺らだけの時間を楽しんでもいいだろ、な?」



そう言って少しの隙間も耐えられないというようにぴったりとくっつき、唇を重ねる。



『んっ…ふっ、んっ…』



アンリも朔の肩に手を置き、キスに応じた。

朔は満足するまでキスをすると、ギュッとアンリを抱く。



『朔くん…?』


「ん〜?
 充電中だ。

 本当はすっげぇ会いたかったんだぜ?」



少し拗ねたような朔の声にアンリは微笑んだ。



『私も…会いたかったです。』


「あーあ、燭ちゃんはいいなー。
 四六時中アンリといられて。」



羨ましそうに言う朔。

茶化すようにアンリは笑った。



『ふふっ…
 お守りしましょうか?朔様?』


「いや、お前は俺が守んの。」



――ウィーン




「私に用があると…おい!朔!」


「げっ、燭ちゃん!」



アンリと朔が抱きしめ合っているところに来た燭。

朔を睨んで言う。



「私は用があると聞いたが…?」


「いやー、久しぶりだったからさー。」



朔は悪びれもせず、さらに強くアンリを抱きしめた。



「ここをどこだと思っているんだ!
 離れろ!!」



怒ったままアンリと朔を引き離す。



「ちょっとくらいいいじゃねーか。」


「うるさい!
 私に用とはなんだ!」


「あーそれは、―――」



二人の様子を黙って見ていたアンリはコーヒーを入れて手渡した。



『どうぞ。』


「あぁ。」

「サンキュー」



話はすぐに終わり、この後も仕事があるらしい朔を燭が部屋から追い出そうとする。

出る間際にアンリの手を引く朔。


――チュッ


「じゃぁな!」


『///』



キスをして手をひらひら振る朔の燭は声を上げた。



「…朔!!!」



アンリは願う。

この幸せな日常が、壊れることのないように…








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