私は貴方の護衛です☆

□第七夜
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「ほんっと、お前ら…!」



たたっ、と駆け寄ってきた朔に燭が怒鳴る。



「誰がお前らだ、朔!!!」


「うわっと」



耳を塞ぐ朔。



「俺にあたるなよ、燭ちゃん。」


『朔君。
 年上の方に「お前」は感心しません。

 敬語を使うべきだと思いますが?』


「アンリは硬ぇんだよ。」



そして、帰っていく平門を指差して言う。



「あんな事言って結構慈悲深いからさ!(たぶん)」



平門をフォローする朔を見てアンリは先ほどの燭の言葉を思い出していた。


〈命を奪うということは、己の都合で決めていいことではない!!〉


アンリも今まで数多くの命を葬った。

〈血〉に侵された罪のない人々。

すべて、国の都合で殺されてきた。


国の命令とはいえ、実行したのはアンリたち、輪の人間だ。


罪がなくなるとは思っていない。

せめてもの償いに、このいを終わらせようと、初めて人を殺めたときに誓った。



「心配すんな。
 无には必ず誰かがついている。

 腕輪に発信機もつけてあるしな。

 だろう?アンリ。」


『…平門君が慈悲深いかどうかは別にしても、そういう意図があったのは確かだと思います。

 ですが、…そういう状況になったら、迷わず无君を殺すでしょうね。』



一瞬、悲しげな顔をしたアンリだったが、話題を変えるように朔に聞く。



『…朔君、无君たちはどちらへ行かれたんですか?』


「あぁ、リノルに調査をしに行ったぜ。

 調査っつても、簡単だけどな。」



リノルと聞くと条件反射的に体が震えた。



『リノル、ですか…。』



遠い目をするアンリ。



「リノルがどうかしたのか?」


『いえ、その、リノルに三人で任務のために行ったことがあるんです。』


「凍えたよなぁ。
 確かに極寒だったぜ…。」



体を震わせる朔に燭は少しだけ、同情の眼差しを向ける。



「おっと、そろそろ仕事の時間だ。

 またゆっくり話そうぜ、アンリ。

 今度はちゃんと四人でティーパティーしような!」



そう言って帰っていく朔にアンリは呟いた。



『朔君の言うティーはお酒でしょう…』


「まったくだな。」




















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