☆クロスウォーズ☆
□☆闇の中に
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陽は堕ち、空が闇に覆われて地上の人々に夜を告げる
俺はメイルバードラモンに乗り、瀕死状態の敵を見下ろした
「殺すなとは珍しいこともあるものだな?キリハ」
主人の命令に従い、手加減して攻撃した彼は物珍しそうに尋ねてきた
しかし俺はその言葉には答えず「手加減するのも難しかっただろう」と激励する
グレイモンならこう上手くは行かなかったであろうし
これ以上余計な事を言えば俺の気を害すとでも思ったのか、メイルバードラモンは黙って敵の前へと降り立った
そう
俺がこいつらを殺さなかったのにはきちんとした理由がある
「工藤タイキ、最終警告だ。もう勝負は着いただろう。仲間の為と言うなら大人しく俺の配下になれ」
「断ると言ったら断る!」
「これ以上逆らっても死ぬだけだぞ?」
「…っ」
あいつの才能を見込んでのスカウトをどうして身体を張ってまで拒否し続ける?
そこがまた欲しい要因のひとつなのだが
「…まぁキリハ、今日はもう暗いしまた次回にしないか」
両者一歩も譲らない態度に埒が明かないと悟ったかの様にメイルバードラモンが撤退を促す
本当はメイルバードラモンも、俺にはタイキ達を殺す気は満更無いことを
知っていた
気を利かせて諦め逃げる口実を作ってくれた彼に感謝しつつ俺は「その方がいいな」と呟いた
「また会おう工藤タイキ。その堅い頭をよく冷やして次俺に会うまでによく考えておくんだな!」
そうとだけ言い残し、再びメイルバードラモンと共に空へと舞う
何やらほざいているクロスハートを背にし、メイルバードラモンが何やらぼそりと呟いた
「何か言ったか?」
「いや…大したことではない。ただ、何故キリハはあいつに固執しているのかと」
「あれだけの大物を手元に置いておかない訳には行かないだろう。俺は力を求めているんだ」
「そうだな」
個人的な理由で欲しいというのもあるが…
まだ見えぬ未来を見つめ、目を逸らしたい過去を睨みながらその言葉は呑み込んだ