企画・捧げ物

□勘違いの行方
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ジャン・キルシュタインはミカサ・アッカーマンに恋をしていた。
その事実をジャンは秘密にしているつもりなのだろうが、周りの者は皆知っていた。
当のジャンとミカサを除いては。

今日も訓練でヘトヘトになって夕食の席に付く訓練生達。
ジャンの視線は自然とミカサへ。
そこには見たくも無いがエレン・イェーガーの姿も見えてしまう。
そしてその隣にはいつもくっ付いているアルミン・アルレルトの姿も。

三人は幼馴染と言うだけあっていつも仲が良さそうにしている。
それがまたジャンには気に食わなかった。
幼馴染と言うだけでミカサの心を占めているのはエレンなのだ。


食事が終わり部屋へ戻る前に、ジャンは少しだけ気分転換をしようと外へ出た。
少しぶらぶらとしていると見知った顔を見つけほんの少し驚く。
「…アルミンか」
「! ジャン、どうしたの?」

そこには珍しくも一人ぼんやりと月を見上げるアルミンの姿。
アルミンは人より遥かに体力が劣っている為、食事の後はすぐ部屋へ戻る事が多い。
それに基本いつもエレンとワンセットのイメージがあり、こうやって一人で居る事は珍しい。

「お前こそどうしたんだよ、珍しい」
「…んー少し考え事…かな?」

僅かに苦笑いしたアルミンの答えはひどく曖昧なもの。
けれど、それを突っ込む気はジャンには更々無い。

「ふーん、お前体力無いんだから早く休めよ」
どうでもいい様にそう声を掛け、これ以上ここに居てもしょうがない、とばかりにその場を離れた。


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