企画・捧げ物
□相思相愛
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寒い冬が明け暖かい季節がやってきた。
ここ奥州でも、深い雪が溶け草花が顔を見せ始めていた。
「政宗殿!」
「よく来たな、幸村」
奥州の冬は厳しい。
深い雪に覆われていた為に会えなかった二人は、春の訪れと共に再会した。
常なら政宗が甲斐へ赴くのだが…
今年の奥州は稀に見る酷い極寒。
政宗の方が色々とごたごたしていて外出もままならない状態だった。
それを考慮して幸村の方が奥州へ来たと言う訳だ。
奥州と甲斐は現在同盟を結んでおり、今回は信玄の配慮により幸村が使者として赴いた。
二人は恋仲で、信玄もそれを理解しているからこその配慮。
「まだ奥州は寒いのですな」
奥州より南から来た幸村には、暖かくなったとは言え、奥州はまだ少し寒く感じられる。
「そうだな。
幸村、悪いがまだちょっと手が離せねぇから少し休んでてくれ」
そういう政宗の顔は日頃の政務に追われ疲れているのか、顔色があまり優れないように見えた。