Novel:side G.U.
□☆隠されし禁断の聖域にて
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「真実を、求めていたんだろう?」
元は女神を祭っていたのだろう祭壇の上で、ハセヲを組み敷いた男が耳元で囁く。その声さえ、聞く者に悦楽を与えると、判っているかのような物言い。
「求めた真実が、お前の欲したものかどうかは、別の話だが」
三爪痕≠探していた。志乃をPKした犯人だと、確信して。
その推理は正しかった。だが、一方では間違っていた。
蒼炎をまとったPC――かつてthe world≠救ったPCを模したNPCは殺人鬼ではなかった。むしろ、真の三爪痕を追っていたのだ。
真の三爪痕≠ヘ、あまりにも身近な人物だった。
黄昏の旅団≠フギルドマスター、オーヴァン。憧れと嫉妬の的。
封印されていた彼の左腕の真実――AIDAと再誕≠フ碑文が共生した圧倒的な力≠フ前には、死の恐怖≠フ碑文さえも及ばない。
それを、思い知らされたところだ。
「っく…う……」
行為が開始される前、憑神ともども打ちのめされた体に、もはや抵抗する力など残っていない。漏れる声は必死に苦痛を耐えるためだけのものだ。大して慣らされもせずに突き入れられたそこは、痛みばかりをハセヲに与える。
血のような緋の瞳から生理的な涙が溢れ、白い頬を彩る瞳と同じ色の紋様を伝った。
それが、まるで血の涙のようで。
オーヴァンの倒錯的な熱情を煽る。
「どう…して…っ!オーヴァン!」
問いたいことが、たくさんあった。
なぜ、志乃をPKしたのか。なぜ、AIDAをその身に宿すのか。
――なぜ、自分を信頼してくれなかったのか。