Novel:side G.U.

□路
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「そいえば、ハセヲも期末テスト近いんじゃない?」
「まぁな」
「テスト勉強しなくて平気なの?」
「テスト前にムキになって勉強することねーよ」
「ハセヲは頭が良いんだなぁ」
「そうでもない。結構、普通」
「普通、テスト前は必死になると思うよ」
「……やっぱ、そんなモンなのか?」

 進学校で、周りが常に必死で勉強している環境に居るためか、亮にはそういったテスト前の悲壮感がよく分からなかった。

「ねぇ、ハセヲって高校生なんだよね?」
「ああ」
「何年生?」
「いちお、この春で三年になるけど」
「じゃあ、そろそろ進路考え時?」
「そう…だな」
「ハセヲは大学に行くのかぁ?」
「一応な」

 周囲と同じように。適当に成績を保持して、成績に見合った大学に進学する。高校に進学した時からずっと単純にそう思っていた。だが。

「大学…か…」
「どしたの、ハセヲ?」
「なあ、シラバスって大学生だったよな?」
「うん。仙台の大学に通ってるよ」
「何でその大学にしたんだ?」
「うーん…。家から近場で、経済的に通える大学だったから…かなぁ。これと言った特徴の無い大学だから」

 苦笑交じりにシラバスが言った。

「何かしら勉強したいことがあったとか、そういうのは無いのか?」
「まぁ、初めの頃はそういうこと考えてたけど、だんだん受かることが目的になっていっちゃったなぁ。……大声じゃ言えないけど、高校の成績は可でもなく不可でもなくって感じだったから」
「そ…か」
「ハセヲは?」
「え…?」
「ハセヲはどっか行きたい大学あるの?」

 行きたい大学。

 引いては、自分がやりたいこと。自分の――亮の意思。
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