Novel:Side GG
□寝言
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「ったく…しゃあねぇな」
持ってきた始末書の束を適当に卓上に置き、空いた両腕で小さな体を抱き上げる。
予想はしていたが、やはり軽い。こんな体つきで、あれほどの剣を振るうなど、信じられない。
目の前で戦う姿を見なければ、この華奢な子供が“人類の希望”と呼ばれる英雄だと思いもしないだろう。
腕の中の少年を、執務室の中央にあるソファに下ろす。
見下ろした少年の普段とは打って変わった年相応の寝顔に思わず苦笑が漏れる。
団長という立場上、常に気を抜けないのはわからないでもない。しかし、寝ているときにしか子供の表情が出来ないほど、根を詰めることもないだろうに。 そのときだった。
小さな体が身じろいだ。
起きるかと思ったが、そうではなかった。眉を寄せ、妙に幼い口調で。