Novel:side G.U.
□☆隠されし禁断の聖域にて
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「――ッ!」
いきなり奥を突かれ、唇から漏れそうになった声をハセヲは必死にかみ殺した。
「…どうした?無理をしなくてもいいんだぞ、ハセヲ?」
低い声が聖堂を反響する。
囁きかける声は、あくまでも優しい。頑なに凍りついた心を解そうとしているような甘い声。
だが、ハセヲはその声に全てを委ねる気になれなかった。
「――なんで、こんな…!オーヴァ…っ」
抗議の声は、再び深く突き入れられた律動の中に溶けて消えた。
失われた地、隠されし禁断の聖域――グリーマ・レーヴ大聖堂――
かつて、このthe world≠守護していた女神が祀られていた聖なる場所。
ゴシック様式を模した静謐な聖堂には、しかし女神の姿は無い。
女神はこの世界≠ゥら去った。
今はただ、祀るべき者を失った祭壇が残るのみ。
三爪痕≠ェ残した傷と共に。