Novel:side G.U.
□路
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「あ〜〜〜っ!!!」
ギルド・カナードの@ホームで。
ピンク色の獣人、ガスパーの大声にハセヲは思わず硬直した。
「ど、どーしたの、ガスパー?」
前触れの無いガスパーの叫びにシラバスが驚きを隠せない様子で問いかける。
「おいら…おいら……」
恐ろしいものを見たかのようにガスパーは口が詰まっている。
「どーしたんだよ、ガスパー?」
ハセヲがガスパーに近づくと。
「来週から期末テストなんだよぉ〜!!!」
泣き声で思い切り抱きつかれ、ハセヲのPCが派手に@ホームの床に転がった。
「中間テストの結果が悪かったって、親にどやされたのか」
「うん…」
「で、期末の結果によっちゃthe worldが禁止になっちゃうってことか。確かに必死になっちゃうかもね…」
「どぉしよぉぉおおお〜」
「わかったから、とりあえず抱きつくなっ!!! 」
ガスパーの余りの必死さにPCハセヲのプレイヤー――三崎亮は少し真剣に考える。
リアルの亮自身にも覚えのある悩みだ。
「ガスパーは何が苦手なの?」
「おいら、数学が苦手なんだぁ…」
「ってことは理数系が苦手なのか」
「うん…」
「何もせずに点数取るってのは無理があるしな。地道に勉強するしかないだろ」
「そうなんだけど…」
「どうしても分からなけりゃメールしろよ。The worldに繋ぐのが駄目でもメールくらいは大丈夫だろ」
「ホント!?」
「中学レベルの数学なら教えられると思うぜ」
「ハセヲぉおおぉ〜!!!」
「うわっ…!」
二度目のガスパーの飛びつきに、ハセヲのPCが再び床に転がった。